[2019年7月16日]
地元公立中学に進んだ現中1は、まもなく「5段階評価」の洗礼を受けることになる。
都立中や私立中に進んだ中1の多くは、いきなり、高校とおなじく「10段階評価」だろうから、今回の記事は参考にならないことを、あらかじめお断りしておく。
5段階評価の「1」は、不登校か、登校しても教室から脱走するか、教室にいてもほぼ完全に授業に参加していない生徒でない限り、なかなかつかない。
よって、「5段階評価」は、実質「5・4・3・2」の「4段階評価」であるとも言える。実際に「1」がつく生徒の割合は、1〜2%程度しかない。98%以上が「2」以上なのである。
5段階評価の「3」は、かつての「2」の範囲を、ほぼ丸呑みしてしまった。よほどのことがない限り、テストの成績がかなり不良でも「3」がつく。
これは、東京都教育員会(東京都教育庁)の発表データから一目瞭然だ。「2」以下の評価がついている生徒は、下位15%の生徒だ。つまり、下位15%に入らなければ「3」がつく。裏返せば、上から85%以内なら「3」がつく。
5段階評価の「4」は、かつての「3」の上半分以上を取込んでしまった。その代わりに、かつての「4」の上位層を「5」に譲った。
5段階評価の「5」は、かつての「5」ほどに優等生ではない。かつては成績上位7%しか「5」はつけられなかった。しかし、今は上位20%程度に「5」がつく。多い学校の多い教科では、上位40%に「5」がつけられる。つまり、かつてなら「3」の生徒にも、「5」がついていることがあるということだ。
それでも、終業式に「通知表」を受け取った生徒とその親は、『厳しい・・』と嘆く。
その原因の一つが、小学校における「甘い3段階評価」にある。
ほとんどの自治体で、小学校の中高学年の成績評価が「3段階評価」になって久しい。
並みよりはそこそこできる児童には「よくできる」、並みの児童には「できる」、理解が乏しい児童には「もう少し」という、本人にも保護者にも、いかようにも都合よく解釈できる評定となっていたはずだ。
牧歌的な考えの親や、自己に甘い親は、「できる」を『できる』と思いたがる。しかし「できる」は、歴史の古い大学の成績評価で用いられる「優・良・可」の「可」の基準に近い。つまり、単位のもらえない「不可」の一歩手前の、全く褒められたものではない評価だ。落第の一歩手前でなんとか踏みとどまった状態を表している。つまり、今の「3」か「2」だ。
「もう少し」は、同じ尺度なら「不可」とほぼ同じだ。小学校は義務教育だから、落第や留年は基本的にない。しかし大学なら、落第どころか卒業が危うくなる評価だ。少なくとも、その教科の「単位」がもらえない。必修教科や選択必修教科だと、命取りになりかねない。
「できる」100%の児童は、男女差はあるが、「オール3」程度、「平均3」程度に落ち着くであろう。
「できる」と「よくできる」が50%ずつでは、「3」と「4」半々くらいが妥当な線だ。もちろん個人差はあり、もう少しよくつくかもしれないし、もう少し悪くつくかもしれない。
では、「よくできる」80%はどうか。「オール4」もしくは「平均4」くらいが妥当な線だ。高校受験で難関校や進学校に進むには、いささか厳しい水準だ。当然に、進学校である都立中に合格するためには、また、都立中で落ちこぼれないためには、これくらいは必要な水準だ。
最後に、「よくできる」ほぼ100%、もしくはほぼ100%はどうか。これは、「平均4」から「オール5」まで広く分布するが、「4」と「5」が半々くらいが妥当な線だ。
「4」と「5」が半々だと、都立高校なら三番手校にやっと手が届くかどうかという内申レベルだ。
これに、小学校高学年での勉強の質と量とレベルが、「実力」として加味される。小学校の学習内容は簡単なので、それを超えた発展的内容まで踏み込んで学習できていたか否かで、大きな違いができる。具体的には、「内申は高いのに、高校入試問題で得点できない」という差になる。内申は一般入試では30%がほとんどなので、内申だけで夢は実現できない。
3年間クラス1位をキープし、3年間学年上位(学年クラス数の順位以内、学年3クラスなら学年3位)を維持できて、やっとトップ校への「挑戦権」が手に入る思っておいた方がよい。加えて、相応の実力が必要である。
学年100人中の学年4位だと、三番手校にも届かない可能性もあるということだ。
「甘い」5段階評価を、「厳しい」と感じているようでは、将来の「さらに厳しい」現実に、打ちのめされることになる。
ここで書いたことが、良い方向でハズれることを、祈る。
お伝えしたかったのは、高校受験は、「中学入学後」に競争が始まるのではない、「中学入学前」には、もう本格的に始まっているということ、なのだが、その理由と根拠をご理解いただけたであろうか。
高校受験で進める学校のレベルは、小5の頃には、ほぼ決まってしまうのである。
これを打ち砕くには、中学入学直後までに、あなたが大変身するしかない。しかし、ほとんどの人は、そうなりたいと思いながら、そうなることができない。
年齢相応に成長しても、ライバルも年相応に成長するから、あなたの立ち位置は変わらない。あなたのポジションを大幅に改善したいなら、ライバルを大幅に超える成長が必要になる。そのためには、人並み外れた努力が必要だ。
このことを正確に理解し、必要な時期から、必要な質と量で、毎日休まず継続して、何も誤魔化さずに、自分を騙さずに、誰にも嘘をつかずに、取り組むことをお勧めする。
それが、あなたの、実力になる。
それで、あなたの、進学先が決まる。