[2019年7月29日]
中学入試の過去問題集などを見ると、「合格者最低点」などの他に、「合格者平均点」や「受験者平均点」も載っていることがある。
しかし、都立中学の場合は、「合格者最低点」などが公表されていないため、受検生親子にとって、合否ラインがつかみにくい。
ここで、悪徳学習塾の出番となる。
「合格者平均」を開示すると、多くの受検生親子は、怯んでしまうので、「受検者平均」を持ち出すことになる。
それを見た受検生親子は、ウチも何とかなるかしらと、希望をもつ。そして、ウチの子も大手塾に入れて頑張ってもらおうかしらと考える。
でも、ここで冷静になって考えてみていただきたい。倍率が6倍前後ある都立中入試において、「受検者平均」は、合格ボーダーラインから程遠いから、合格にとって何の意味もない。
受検者の得点が正規分布すると仮定すると、実際には正規分布しないのだが、倍率がちょうど2倍のとき「受検者平均」付近がボーダーラインとなる。正確には「受検者中央値」がボーダーラインとなる。
しかし、倍率が6倍の時、「受検者平均」も「受検者中央値」も、ボーダーラインから、遥か下になる。
もっと言えば、倍率が6倍の時、「受検者平均」も「受検者中央値」も、不合格者の「平均」や「中央値」に近くなる。
つまり、「受検者平均」や「受検者中央値」を少し超えただけでは、「堂々の不合格者」になるということだ。
よって、「受検者平均」を誤って利用してはいけない。けっして、目標などにしてはいけない。参考にすらならないのである。
確実に合格したいのなら「合格者平均」を目指すべきである。
けっして「不合格者平均」に近い「受検者平均」を目標にしてはいけない。
そうならないために、不合格者数の多い塾や、不合格率の高い塾で受検準備をしない方が、安全だ。
なぜなら、不合格が確実な、たくさんの受検生と一緒に学ぶことで、心に隙や油断が生じ、あなたの合格可能性を著しく毀損するからである。
これは、どんな入試でも言えることだが、都立中など公立中高一貫入試では、特に重要なことである。