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三田学院

[2019年8月5日]

【共学校】なぜ、お好き?

共学校が人気だが、女子校では充実している女子教育や、男子校では充実している男子教育が、ほとんどそのまま欠落している共学校が多いので、事前に確認が必要であろう。

女子教育の代表例としては、礼法、茶道、華道、着付などがある。また、共学校では家庭科教育も男女混成となるので、女子向けに特化することが難しい。特に、女子にとって礼法の欠落は重大で、お行儀が優れない、庶民的な作法の庶民的な女子に育ってしまう怖れがある。それで全くかまわないご家庭にとっては何も問題ないであろう。しかし、そうでないご家庭は、学校に任せることができないので、ご家庭や、礼法教室などで身につけさせなければならなくなる。女子校では、男子生徒がいないので、力仕事も女子が取り組むが、共学校だと男子任せになるリスクもある。

「女子として、どう、よりよく生きるか」という視点の教育も、共学校では容易でなくなる。

共学校では、男子校で充実している男子教育も欠落することが多い。ほぼ、女子校の裏返しとなるので、詳しく書く必要はないだろうが、成長差が大きい中学段階では、女子に頼りっぱなし、あるいは、女子に圧倒されっぱなし、になり、肩身の狭く活き活きできない男子が多くなりそうだ。

また、女子と男子の発達段階などの違いに配慮した教科指導も、共学校では難しい。例えば、数学や理科をガンガンやると、きついと感じる女子が多くなるかもしれない。逆に、英語や国語のコミュニケーション系をガンガンやると、男子にはきつかもしれない。よって、どちらにも配慮すると、どちらにも中途半端になりかねない。

つまり、女子教育や男子教育という視点からは、共学校は、女子教育や男子教育を、ほとんど何もしてくれない公立中学や公立高校と大差がないということだ。

共学校は、誰にとっても、どこかツボにはまっていないような、感じがするかもしれない。もちろん、そのマイルド感がいいという人もいるであろう。

世界的に見ても、中等教育段階で、女子校や男子校の別学を採用している国々はいまだに多い。日本国内では急速に完全別学が減少しており、絶滅危惧種だと自虐的に自己評価する男子校や女子校さえある。しかし、その裏には自信が隠されている場合が多い。

お茶の水女子大学は、附属高校と大学で女子校になる。今や貴重な国立校である。OBが設立した桜蔭中学・高校も女子校である。また、筑波大学附属駒場中学高校は、男子校である。

女子教育や男子教育を望まない教育方針のご家庭もあろう。そうしたご家庭には共学校が合っている。

共学校人気により、かえって、女子教育や男子教育の希少価値が高まっている。いずれまた、女子校や男子校が再評価される時が来るかもしれない。