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三田学院

[2019年8月22日]

【都立中】併願パターン

受験生にとっては、人生に一度かぎりの中学受験なので、受験料や時間の「節約」や、労力や手間の「手抜き」はせずに、「目標達成最優先」つまり「合格最優先」で臨みたい。

埼玉や千葉入試までに、できるだけ早い時期に複数の「合格(通知)」を獲得し、自信を持って本番の東京入試を迎えることが理想である。

私立に進む気がない「都立単願受検生」にとっては、「練習校」の選択は重要である。私立に進む気が全くないのなら、学力試験型の私立で「練習」する必要はない。

学力試験型の入試は、都立入試の「練習」にはならないから、「練習校」というより「お試し校」になってしまう。厳しい日程なのだから、できるだけムダを省き、適性検査型私立で「練習」しておくべきだろう。特に偏差値50未満の私立は、我がままを言わなければ、我がままをしなければ、「実質全入」だから、都立に合格することだけが目的なら、偏差値50未満の学力試験型私立入試で「お試し」受験する意味は、実質的にほとんどない。「練習校」であればこそ意味がある。

都立が残念だったら、相応の難易度の私立校に進む覚悟がある「私立並列併願」なら、偏差値50未満の学力試験型私立受験であっても、本命私立の「練習校」にはなるから、埼玉や千葉日程で受験する価値はある。

もちろん、都立の合格可能性が高い受検生なら、さらに難易度の高い学力試験型私立を「練習校」に選べるだろうから、わざわざ偏差値50未満の学力試験型私立を選ぶ必要性は低い。偏差値55以上の、できれば都立中レベルの偏差値60以上で「練習」しておきたい。もちろん、適性検査型私立で「練習」する際は、埼玉や千葉日程で、高偏差値帯に適当な私立がほぼないから、偏差値50未満であっても「練習」する意味はあろう。

12月以前や1月では、「練習校」と「安全校」で複数の「合格通知」を獲得した上で、自信喪失につながらない範囲内で、「最適校」(実力相応校)や「挑戦校」(チャレンジ校)に挑戦してもよかろう。

気をつけたいのは、「都立」と「難関私立」に、ともに本気で挑む場合である。『共倒れ』だけは避けたい。

以下、タイプ別の併願パターンを例示する。

■都立単願・都立実質単願

1月10日〜:埼玉・適性検査型・練習校
1月20日〜:千葉・適性検査型・練習校

2月1日:適性検査型・都立レベル私立校
2月2日:適性検査型・都立レベル私立校
2月3日:都立本命校
2月4日:適性検査型・都立レベル私立校、またはパス
2月5日:適性検査型・滑り止め私立校、またはパス

併願する私立校には、特待合格の難易度が都立レベルの難易度になる私立校も考えられる。また、単科入試や算国入試を行う私立校も考えられよう。こちらも特待合格できれば選択肢が広がる。

■都立第一志望・私立第二志望による併願

1月10日〜:埼玉・適性検査型・練習校
1月10日〜:埼玉・学力試験型・練習校と安全校
1月20日〜:千葉・適性検査型・練習校
1月20日〜:千葉・学力試験型・練習校と安全校

2月1日:学力試験型または適性検査型・都立レベル校
2月1日PM:学力試験型または適性検査型・都立レベル校、またはパス
2月2日:学力試験型または適性検査型・都立レベル校
2月2日PM:学力試験型または適性検査型・都立レベル校、またはパス
2月3日:都立
2月4日:学力試験型または適性検査型・都立レベル校
2月5日:学力試験型または適性検査型・都立レベル校

2月1日と2日の午後入試は、過密日程にならないように、「単科入試」や「2科入試」を行う私立が最適であろう。

ただし「午後単科入試」や「午後2科入試」は、難易度が午前入試より大幅に上がる学校がほとんどなので、注意が必要だ。午前入試の難易度の感覚で受験すると、痛い目に合うリスクが高い。

よって、午後入試には「安全校」を持ってくる方が、精神的な負担は小さく、かつ効果的な併願パターンとなる可能性が高い。もちろん、受験生の実力によって選択できる学校の組合せは変わってくる。偏差値70以上の実力があるなら、最難関私立や難関私立に挑戦してもよいだろう。この水準には魅力的な学校がいくつかある。

不合格の可能性が高いのなら、午後は無理して受験せずに休養を取って、「本命」もしくは「第二本命」で組むことになるであろう翌日以降の午前入試に全力が出せるようにした方がベターだ。

■都立中と私立中「並列併願」、私立第一志望・都立第二志望

都立中でも私立中でも、合格できた中からベストだと思える学校へ進学する方針の受験生のことである。私立第二志望や私立第三志望を含めて実質的に都立中と競合する。

1月10日〜:埼玉・適性検査型・練習校
1月10日〜:埼玉・学力試験型・練習校と安全校
1月20日〜:千葉・適性検査型・練習校
1月20日〜:千葉・学力試験型・練習校と安全校

2月1日AM:学力試験型・私立本命校(最適校)、またはチャレンジ校
2月1日PM:学力試験型・私立本命校(最適校)、またはチャレンジ校、またはパス
2月2日AM:学力試験型・私立本命校(最適校)、またはチャレンジ校(1日目合格)
2月2日PM:学力試験型・私立本命校(最適校)、またはチャレンジ校(1日目合格)、またはパス
2月3日:都立
2月4日AM:学力試験型・私立チャレンジ校(最適校合格)、または安全校(最適校不合格)
2月4日PM:学力試験型・私立安全校(最適校不合格)、またはチャレンジ校(最適校合格)
2月5日:学力試験型・私立チャレンジ校(最適校合格)、または安全校(最適校不合格)

2月4日と2月5日は、入試を行わない学校が多くなり、行う場合でも、2月1日より難易度が上昇する学校が多いので、選択肢が少なくなり、難易度的にも苦しい闘いとなる。よって、2月2日までの早い段階で「私立本命校」の合格を勝ち取っておきたい。このため、2月3日都立の本気の「練習」は、1月中に終えておくことが必要になる。

東京日程1日目や2日目に挑戦校をもってくるという強気の選択もあるが、毎年一定の割合で、東京日程前半での挑戦に連続して失敗し、後半日程の試験会場に、悲壮感を漂わせながら現れる受験生親子を数多く見かける。もはや残された選択肢は数少なく、強気を継続すれば「玉砕」、急に弱気になっても自尊心を保てる学校は残っておらず中学受験そのものから「撤退」、適切なレベルの学校を見つけられても入学する気になれず地元公立中学へ「転進」となりかねない。

前半日程で強気の挑戦をするのなら、1校限り、1回限り、にしておきたい。1日に「1日校」などで挑戦して2日に最適校を受験するか、1日午前と1日午後に受験した最適校の合格を確認してから2日にチャレンジ校を受験するかになるであろう。3日に都立も受けるのだから、2日が終わった時点で疲労困ぱいしてしまってもいけない。万全の体制で3日にも臨みたい。だから、前半日程で強気の挑戦をするのなら、選びに選んで1校のみ1回のみに絞りたい。あなただけに奇跡が起こることはないから、この時期になったら、もう欲張らない方がよい。ここで欲張るくらいなら、小4や小5までに、もっとどん欲に勉学に励むべきだったはずだ。

受験料合計として、事前に15〜20円程度の予算を計上をしておくと安心だ。また、入学金は2校分を用意しておきたい。高いと思うかもしれないが、明らかに必要経費だ。目標を達成できた後になれば、たいした金額ではなかったと思えるであろう。

本命私立の入学資格をキープするためには、手続期日までに「納入金」を納めておく必要がある。入学金などとして1校分約30万円か、余裕をもって2校分の60万円程度を、事前に用意しておきたい。手続締切期日の当日手続きの場合には、「銀行振込」を受付けてくれない学校がほとんどなため、「現金」を持ち運びながら試験会場送迎になる可能性もあり、防犯にも注意したい。

手続き締切日が「遅い」学校や、「延納」を認めてくれる学校や、辞退すれば全額返金してくれる学校もある。しかし、いずれもごく少数である。人気のある学校ほど強気なので、これらには該当しないことがほとんどである。

私立との「並列併願」では、合格発表の状況を見ながら臨機応変に対応できるように、中盤戦と後半戦は「ダブル出願」も視野に入れておく必要がある。ただし受験会場に足を運ばなかった方の受験料は捨てることになる。いわゆる「当日欠席」である。

都立中の「当日欠席」者の中には、難関私立に合格して欠席する受験生の他に、難関私立に不合格になって欠席する受験生もいる。「ダブル出願」しておいた難関私立の試験会場に向かわざるを得ない受験生もいるのである。より確実な結果が見込める受験校を、前日深夜や当日早朝の直前になって選択しているのである。前半で崩れると中盤戦以降が過酷になるという意味がお分かりいただけるであろうか。

あまり知られていないようだが、都内在住者でも、実は「別の公立中高一貫校」を「併願受検」可能である。もちろん、「東京大学教育学部付属の推薦入試」のことではない。

*本件に関しての、在籍生でない方による「お問い合わせ」は、くれぐれもご遠慮ください。