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三田学院

[2019年9月11日]

【僕は帝王】

僕はクラスの人気者ではない。
僕はクラスの優等生ではない。
僕はクラスのリーダーではない。

誰も、僕に、注目してくれない。

でも、僕は、クラスの帝王になりたい。

だから、クラスの人気者をやっつける。
だから、クラスの優等生をやっつける。
だから、クラスのリーダーをやっつける。

方法は何でもよい。

先生の前で、嘘をつく。
先生の前で、人気者や優等生やリーダーを貶める(おとしめる)嘘をつく。
先生の前で、人気者や優等生やリーダーの仲間を貶める嘘をつく。

そして、人気者や優等生やリーダーを失墜させる。

先生に隠れて、暴力を振るう。
先生に隠れて、人気者や優等生やリーダーに暴力を振るう。
先生に隠れて、人気者や優等生やリーダーの仲間に暴力を振るう。

そして、人気者や優等生やリーダーを弱体化させる。

先生の前では、徹底的に、いい子を演じる。
父母の前では、徹底的に、いい子を演じる。

けっして、悟られないようにする。
けっして、バレないようにする。
けっして、見つからないようにする。

そして、執拗に貶める。
そして、執拗に弱体化させる。

僕が帝王になるまで続ける。

クラスの雰囲気が悪くなったら、優等生の仕業だと、先生や親に思わせる。
クラスがまとまらないときには、人気者の仕業だと、先生や親に思わせる。
クラスが荒れてしまったのは、リーダーの責任だと、先生や親に思わせる。

僕は、先生や親の前では、徹底して、いい子のフリをする。
僕は、先生や親の前では、徹底して、理想の子供を演じる。

そうすれば、僕は、きっと帝王になれる。

そのためには、どんな手段もいとわない。

成果は上がりつつある。

両親は以前から僕を帝王だと思ってくれている、と思う。
担任の先生も僕を帝王の素質ありと認めだした、と思う。

父母に続いて、担任の先生を騙せたのは大きい。

帝王になるまで、あともう少しだ。

でも、クラスのみんなは、僕を帝王だと認めてくれない。
でも、クラスのみんなは、僕のことを評価してくれない。

担任の先生の前でだけ、いい子ぶってると言う奴もいる。

そんな奴らは、黙らせてやる。
そんな奴らを、黙らせてやる。

そのためには、どんな手段もいとわない。

罠に陥れて、黙らせる。
暴力を使って黙らせる。
ワルと組んで黙らせる。

あと少しで、僕の夢は実現できる。

何人かは、先生に僕のことを、告げ口しなくなった、ようだ。
先生が、僕の意見を信用することを、知ったからだ、と思う。
先生が、何人かの意見を、信用しなくなったからだ、と思う。

その代わりに、その何人かは、先生を信用しなくなった。
その代わりに、その何人かは、先生に反抗するようになった。

先生は、事の真実を知らない。
先生は、僕の本性を知らない。

そして、先生は、その何人かを叱責し続けている。
そして、先生は、僕を叱責することはなくなった。

しめたものだ。
僕の勝利だ。

計画は順調に進んでいる。

しかし、いまだにクラスメートは僕を帝王と認めてくれない。
それどころか、最近とても冷たくされているような気がする。
反抗している人たち以外からも無視されることが多くなった。

でも、諦めない。

卒業式の日は、帝王として迎えたい。
卒業式の日は、帝王として迎えてやる。

そのためなら、クラスメートが嫌がることは何でもする。
そのためなら、父母だけでなく、担任の先生も騙す。
そのためなら、担任の先生こそ、完璧に騙し上げる。

そうすれば、僕は帝王になれる。
そうすれば、僕は帝王になる。

それが僕の目標なのだから。

そのためなら、クラスメートを犠牲にする。
そのためなら、両親を騙す。
そのためなら、先生を騙す。

決して、諦めない。
必ず、成し遂げる。

途中でバレたら、すべてが破綻するから。
真実がバレたら、僕の居場所はないから。
すべてバレたら、生きていられないから。

帝王になれないなら、死ぬしかないから。