[2019年9月24日]
数年前に、東大附の難易度が、都立中に接近していることについて書いた。
ついに、昨年度の入試で、富士と東大附の難易度が、逆転した。
東大附>富士
もちろん、入試問題が全く異なるので、単純な比較はできないかもしれないが、追跡調査から、富士合格者と東大附合格者の、事前の得点力が逆転していたことが判明したのだ。
ただし女子に限ったものだ。男子は接近しているものの逆転にまでは至っていない。しかし、個別事例では逆転は多数発生している。
他の都立中の難易度も、追跡調査から判定するので、特別な判断基準を採用している訳ではない。つまり、これが合格難易度である。
東大附を含めた難易度の時系列推移を調査してきたため、事前に予想はされたにもかかわらず、やはり衝撃であった。
都立中のどこにも合格が難しい受検生にとって、東大附は最後の選択肢となっていたであろうことは確かだ。しかし、もはや東大附を受検校として選択する大きな理由の一つが消滅したのだ。
東大附が、教育方針において、都立中とは根本的に異質な学校であることは、すでにご存知であろう。そのことを承知の上で選択されるなら、この難易度の逆転は大きな意味を持たないであろう。しかし、都立中のオルターナティブとして東大附をとらえていた受検生にとって、この難易度の逆転は、重要な意味どころか、天地を揺るがす事態であろう。
都立中への進学を目指す受検生親子が、都立中に抱く期待や夢と、東大附が与えてくれる期待や夢が根本的に違うことから、難易度的にオルターナティブとしての選択肢となっていた事象が消滅した以上、都立中コースで扱うことは、適切ではなくなったと考える。
よって、新年度(来春2月)から募集する都立中コースにおいては、目標校から東大附を削除する。
代わりに、東大附を志望する受検生については、今後は、中学受験「難関」コース以上でお引き受けすることとしたい。試験問題の傾向からも、この方が適切だと考える。
今後、難易度が再逆転した場合には、再度検討することとしたいが、再逆転後の難易度の差が軽微な場合は、この方針を変更するつもりはない。
誤解のないように申し添えるが、この難易度の逆転は、富士が易化して起きたことではない。東大附の難化により起きた。よって、東大附ではなく富士を受検することをお勧めしている訳では全くない。お間違えのないようにお願いしたい。
そもそも、受検校は、教育方針や教育内容、受検生との相性、選抜方針との相性、受検生の希望などから判断すべきである。東大附を目指していた受検生が、難易度が相対的にやや平易だという理由のみで、受検校を富士に変更するのは適切とは思えない。富士での6年間を熱望する受検生にこそ、富士を選択する意義があるのだ。