[2019年10月16日]
2020年2月の難易度を予想する。
男子では、小石川、武蔵、両国、桜修館で激戦が予想される。
女子では、小石川、武蔵、九段B、桜修館で激戦が予想される。
また、男子では、小石川、武蔵、桜修館で、難易度上昇が予想される。
また、女子では、小石川、九段B、桜修館で、難易度上昇が予想される。
難関私立中学受験生による併願受検が増える一方で、都立中実質単願受検生の減少が続き、一部の学校では隔年現象により倍率上昇が予想されるものの、全体としては概ね平年並みの倍率となりそうだ。
難関私立中学受験生の併願比率の増加が予想されるのは、小石川の男女、武蔵と両国の男子、九段Bの女子、桜修館の男女である。特に警戒が必要だ。例年並みの難易度を想定して準備を進めると、厳しい結果になるかもしれない。
これらの中で唯一、武蔵の女子の難易度がやや緩和する可能性がある。都立中へのより確実な合格を意図して、一部が三鷹や大泉などに流れる気配だ。しかし、若干緩和したとしても最難関の一角であり続けるであろうから、安心はできない。三鷹と大泉の女子もこの影響によるボーダーの難化を警戒しておいた方がよかろう。
一方、前年度の難関大学合格実績が良好もしくは改善が顕著であった学校で、難易度上昇が予想される。
小石川、桜修館、九段Bだ。
大手私立中学受験指導塾の難関私立中学受験生による併願の動きに目が離せない。昨年、御三家や最難関私立中との併願が大幅に増えた小石川の男女で併願比率がさらに増加する見通しだ。これに加え、今年は、武蔵と両国の男子や、九段Bの女子や、桜修館の男女で、4教科型の学力試験を行う最難関私立中や難関私立中との併願比率が高まる見込みだ。
念のため申し添えるが、適性検査型や思考力型入試を行う、中堅や中位の私立中学との併願を、ここでは「私立併願」とは定義しない。御三家中や最難関私立中で適性検査型入試を行っている学校はない。
この動きの影響が軽微かほとんどないと予想されるのが、大泉と富士だ。難易度の大きな変動は見込んでいない。しかし、ともに高校募集の停止が公表されており、高校受験を予定していた人が、一部中学受験に回る影響はありそうだ。
話しは戻るが、難関私立中学受験生による併願比率の増加は、今後も続くことが予想されるため、都立中単願ないしは都立中実質単願受検生は、今後も劣勢を強いられるであろう。
都立中学に集う生徒のレベル向上で、都立中学と地元公立中学の格差は大きく開いてしまった。都立中に不合格なら地元公立中進学しか選択肢がないというのは、国立大学に不合格なら高卒で就職しろと強いるようなものだ。
子にそんな過酷な選択を強いなくて済むように、今後は積極的に難関私立受験生の牙城に切り込む覚悟で準備を進めるのが賢明かもしれない。難関私立中学に合格できるような力も同時につけられれば、都立中専願受検生だけでなく、難関私立併願受験生にも、競い勝てる可能性が格段に高くなり、合格をより確実にできる。
ただし、都立中と難関私立中から、ともに合格を勝ち取ろうとした場合、綿密に練られた戦略で臨まないと、負担ばかりが増加して破綻しかねない。そもそも意図的に過度な負担を強いる私立中受験大手塾の取り組み方では、都立中対策にまで手が回らないか、都立中対策もすると難関私立中対策が中途半端になってしまうリスクが強い。かといって、大手都立中受検専門塾の対策では、難関私立中学の併願合格は厳しいであろう。
都立中対策と難関私立中対策の両方を、いかに効率的かつ効果的に実行できるかが、都立中への合格を目指す受検生にとって、より一層重要になって行くであろう。
合格者総数が多い大手塾に通わせれば子も合格できると錯覚してしまうような親子は、ますます合格が難しくなっていくに違いない。甘い考えの受験生親子が、ただ大手塾の経営を太らせるだけだと気がつかないまま、安易に大手に集う構図は、都立中受検専門塾だけではなく、私立中受験専門塾でも見られる。
もちろん、そうした親子を受け入れる気はないし、そうした教室運営をする気もない。本質を見抜いた親子との貴重なご縁を大切にしていくだけである。