[2019年11月7日]
この日記で、何度も問題を指摘してきた「英語4技能民間試験」が、費用負担の課題を理由に、5年先送りとなった。
大がかりなプロジェクトといのは、一度始めると軌道修正しにくく、過ちに気がついても止められない。
その格好の例が、太平洋戦争である。
早期開戦・早期和平で始めた太平洋戦争は、泥沼化し、国家滅亡の危機に至っても止めることができなかった。英語4技能試験の導入は、この教訓が活かされなかった格好の事例となった。
責任を特定の大臣の失言に押しつけることでしか、止められなかったのである。
言い出した人たちは責任を取らない。
始めた人たちは責任を取らない。
止めさせようとしなかった人たちは責任を取らない。
傍観していた人たちは責任を取らない。
便乗して利益を得ようとしていた人たちこそ責任を取らない。
死の商人であった軍事産業がごとく、利得があるのは悪徳商人だけになろうとしていたから、理由はともあれ5年延期になったのは朗報である。
英語4技能民間試験は、このままお蔵入りするのがベストな解決策である。
そもそも、センター試験は上手く行っている。
大学側も、名門大学ほど、英語4技能民間試験を歓迎していなかった。
英語4技能民間試験を導入したら、国民の英会話力が飛躍的に向上するという、科学的な根拠が示されていなかった。
むしろ、帰国子女など、受験勉強とは別の次元で英会話力を身につけた一部の人に、過度に有利になる危険性すらあり、著しく入学試験の公平性に欠けていた。
入学試験で絶対に担保されなければならないのは、公平性である。
そうしなければ、教育制度が破綻し、国家の礎が破綻する。
もう一度、原理原則から検討し直すべきだ。
今回の英語4技能民間試験の中止先送りは、その機会を得られたということで、評価に値する。
大臣の失言も、今回ばかりは、国民の利益に資したと思う。