[2019年11月25日]
入試シーズン到来まで、残り1ヵ月となった。
小6受験生の間では、志望校や併願校の話題が花盛りかもしれない。
でも、どこを受験するかは、仲の良いクラスメートや、親しいママパパ友であっても、内緒にしておいた方がよい。理由は2月になれば分かる。
そもそも、口外したからと言って合格率が上がるというものではない。大手塾の志望校特訓などに参加するとバレてしまう。できれば、バレないように志望校特訓には参加しない方がよかろう。なにしろ大手塾の都立中の志望校特訓の合格率は芳しくない。つまり参加しても効果は期待できない。
さて、過去問演習も佳境に入っていることであろう。賢明な受験生親子はすでに気がついているであろうが、有名私立中の入試問題は、大学入試を意識して思考力型の出題傾向に変容しつつある。しかし、長いリード文のある公立中高一貫とは、未だに見てくれが大きく違う。私立の場合はリード文を読まなくても解答できる問題を出すところさえある。
ここまで大手私立中受験専門塾で、全力で私立型の受験勉強をしてきたにもかかわらず、この時期になって急に2月3日は都立中を併願校にしようかと考える受験生親子がいる。しかし、お勧めしない。2月3日も私立か国立の学力試験型入試を選んだ方が賢明だ。
なぜなら、今からだと適性検査問題に対応できないリスクが高いからだ。高得点できる作文を短期間で書けるようにはならない。算数であっても出題範囲が大きく違うから、私立算数が得意であっても対応できるとは限らない。都立中の適性算数は、私立中で頻出の分野を意図して外しているかのような出題となる。一言で言うと、私立中算数の隙間問題が出題される。よって、大手私立中受験専門塾でオーソドックスな私立算数ばかりを対策してきた受験生には対応しづらい。
その証拠に、高偏差値「受験生」の、都立中合格率は高くない。
理科や社会も、算数と同じく、私立中受験生にとって隙間問題となる。
その証拠に、中偏差値「受検生」の、都立中合格率は悪くない。
大手私立中受験専門塾で私立中対策メインできた私立中受験生が、私立中と都立中で、ともに満足できる戦績を得ようとすると、隙間を埋めて、尚且つ作文で高得点できる対策が追加的に必要になる。
この時期となっては、もはや、負担が大きすぎる。
私立中に絞った方が安全である。二兎を追えば一兎も得ずに終わるリスクが高まる。都立対策に時間を取られて本命私立を落とすようなことがあれば本末転倒になる。2月3日に都立中を併願するのなら、4年生のうちからしっかりと対策しておくべきだったはずだ。
これは、2月3日以外に学力試験型の私立中を併願する都立中受検生にも言える。二兎を追うなら、二兎を追う準備を、しっかりしておくべきだったはずだ。
都立中が余裕で合格確実なら別だが、そうでなければ、都立中第一志望なら都立中の攻略に専念するべきだし、私立中第一志望なら私立最適校の攻略に専念すべきだ。
都立中第一志望で、この時期になっても、最も平易な都立中への合格が客観的に見込めない受検生は、もうこれ以上志望校の難易度を落とせないから、適性検査型入試を行う私立中学しか望みがなくなる。大手都立中受検塾のほとんどの受検生が辿る道だ。
しかも、学費の都合から特待を狙えば、志望校のレベルをさらに下げなければならなくなるし、学費を負担するにしても、都立中より難易度の低い私立中で、都立中より魅力のある学校は少ない。もちろん、都立中と比較してということであって、魅力がないなどと主張している訳ではない。都立中を熱望するような受検生親子にとって魅力が薄いと言い換えればわかり易いかもしれない。
都立中実質単願であったとしても、せめて、算数か国語の1科か、算数と国語の2科で、それなりの私立中を狙えるところまで準備を進めておくべきだったであろう。
ただ強欲なだけの受験生や受検生には、神の恵みはもたらされない。
煩悩は捨てて、心の声に従いなさい。
そうすれば、どんな結果であっても、受け入れられるに違いない。