[2019年12月10日]
毎年恒例の難易度予想の今年度最終版を掲載する。
都心からのアクセスが良好な学校で比較する。ご興味のある方は参考されたし。
昨年度の実質合格ライン、最新の大学合格実績、最新の塾業界他社の取組状況、今年度の志願者動向などを踏まえて分析した。倍率の予想ではない。合格難易度の予想であることをご承知おき願いたい。
■女子:小石川<<<武蔵<九段B<桜修館<白鴎≒両国<<<<<富士
■男子:小石川<<武蔵<<桜修館≒両国<<<九段B<富士<白鴎
学校名を名指しにして解説すると、気分を害される方がいらっしゃるかもしれないので、今年度は学校名を明示して説明しない。
全体の傾向として、昨年度は上位校で難関私立受験生による併願が激増したが、今年は難関私立受験生の併願が激増すると見込まれる学校がさらに増える。
それは、都立中の上位校と、高校からの入学者がいない中等教育学校で都内全域からのアクセスが良好な学校だ。つまり、難関私立受験生が併願校として心理的にも物理的にも併願校として選びやすく、相対的に安心して通わせられると感じる学校ということになる。
これに、伝統的な都立中実質単願受検生との競い合いが今年度の最大の特徴となる。
全体として上位校を中心に難易度の上昇が見込まれる中、難関私立受験生の併願校として選ばれにくい学校は、難易度の上昇が緩やかとなる見込みだ。
出題傾向の変化についても注意が必要だ。
最近まで都立中の作問責任者であった元都立中幹部によれば、過去問類似問題を総当たり的に取り組んで、いわゆる解法を覚えて合格を狙うような指導をする学習塾からの受検生には解けないような作問に注力しているとのことだった。
理由は、自分で考えて解ける受検生に入学してきてほしいからだ。
ピンと来た人は合格が近い。
野球で言うなら、カットボールのような出題を警戒するのが賢明だ。ストライクゾーンのオーソドックスな速球と見せかけて、僅かに手元で変化させ、バットの芯を外させるような問題がでるかもしれない。
過去問類似問題ばかりに取り組んできた受検生たちは、凡打の山を築いて敗退するリスクがある。しかも「なぜ打ち損じたか分からない」まま不合格になる危険性がある。
入試本番で、解答欄に空欄が目立つ「空振り王」や、何かは書いてあるのだが得点には値しない「打ち損じ王」が多い。答案用紙が回収されるときに、ちらりと確認できるであろう。すでに、その回の攻守は終了している。もはや、その回に得点を加えることはできない。むしろ失点が確定してしまう。
これには、難関私立中の併願受験生も注意が必要だ。適性検査特有の変化球に対応できなければ、学力試験型の模擬試験では高偏差値が取れる受験生であっても、バットが空を切るか、球を芯で捉えられずに内野ゴロや平凡なフライに倒れることになる。
ところで、地球温暖化で桜の花が開花しなくなる怖れが指摘されている。
桜の開花条件は何か、お分かりだろうか?
気温が上昇する(暖かくなる)と開花すると思っていないだろうか。天気予報ではそうした報道が一般的だ。しかし、そうであれば地球温暖化で開花しなくなることはありえない。
冬場に一定の気温以下に低下した期間があった後に、春になって気温が上昇しある気温になると開花するのである。データやグラフから具体的な気温や日数も答えるような出題になるかもしれない。気温が上昇しただけでは開花しないので、「気温が上したら開花する」は不正解だ。部分点すら怪しい。先入観が強かったり、主観的に考える癖がついていたりすると誤答になる。客観的に考え抜く力が問われているのだ。
もし、問題の配点が15点なら、ここで15点を失うことになる。換算で3倍されたら45点失うことになる。換算5倍なら75点の失点だ。一気に合格が怪しくなる。
法則を実験観察の結果から見つけられるかが勝負を分ける。桜の木で実験するのは大掛かりになるから、小学校教科書でおなじみの植物で出題されるかもしれない。植物によっては開花条件は気温とは限らないので暗記したり覚えても無駄だ。実験観察から未知の法則を見つけ出せなければならないのだ。
暖かい冬を過ごしていたら、花は咲かない。
厳しい冬を乗り越えてこそ、花は咲く。
みなさまのご健闘を祈る。