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三田学院

[2020年1月1日]

【謹賀新年】新春入試予想

謹賀新年

旧年中は受験指導にご理解とご協力を賜りまして心より御礼申し上げます。本年も何卒ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。

さて、2020年1月と2月の入試予想をお伝えする。ご参考されたし。

■中学入試・男子校

1年以上前に予想し、そして的中した、巣鴨と世田谷学園が引き続き人気を集める。巣鴨は総受検者数と第一志望者数がともに増え、厳しい闘いになりそうである。算数入試だけでなく、1回・2回・3回の4科入試も難易度が上昇する。世田谷学園もほぼおなじ傾向となる。

一方で、芝の2回目が難易度を落としそうだ。難しくなりすぎたという情報が広く伝わったため敬遠組が増える。流れる先は、本郷、巣鴨、世田谷学園の他、攻玉社、高輪などになろう。

■中学入試・女子校

大学附属を選好する流れは続き、大妻、共立女子、香蘭などの難易度が高止まりする。一方で、大学を持たない普連土、品川女子が若干ながら平易化する。

普連土、品川女子ともに算数入試では成功したが、この反響が一般入試に出てしまった。算数入試は男子校では大成功するが、女子校の場合はそこまで成功しないようだ。女子校の場合、むしろ国語入試や英語入試の方がフィットするのではないだろうか。山脇の国語1教科入試が参考になるかもしれない。

女子校としては珍しい理数教育の充実が認知されつつある山脇と、海外大学と国内大学のダブル卒業資格が取得できるという充実したグローバル教育プログラムが知れ渡った昭和女子大学附属昭和が受験生を増やす。必然的に難易度上昇が見込まれる。両行ともに入試説明会や入試体験会の参加者が急増した。昨年と同じ感覚で受験すると痛い目に合いかねないので注意が必要である。

■中学入試・共学校

埼玉入試で異変が進行中である。大学進学実績が好調な、開智と大宮開成の躍進が続く。開智が栄東を猛追し、栄東の一人勝ちの時代は終わる。

開智は、すでに偏差値が最難関校レベルにまで達しているが、入学手続の締切が都立中の合格発表の翌日となる2月10日なので、都立中難関校を目指す受検生にとって併願校に適している。JR東京上野ライン、JR湘南新宿ライン、日比谷線直通東武線沿線の受験生であれば、通学可能な距離である。

大宮開成は、2月4日が手続締切日なので、2月の東京入試の前半日程でも相応の併願校に合格して、抑え校を確保し直す必要があるが、都立中中堅校の合格を占う目安として、特待選抜の難易度がちょうどよい。JR大宮駅からバス7分なので、栄東や開智よりも都内からの通学が楽である。

都内では、広尾学園の人気が一巡する。三田国際の躍進もそろそろブレーキがかかる。どちらも、新興勢力としては、お手ごろ感がなくなったことが大きい。高難易度の割に大学進学実績が振るわないことも影響する。

代わりに、MARCH系大学附属が堅調に推移する。法政、法政第二(神奈川)の人気が続く。

■中学入試・国立校

東京学芸大学附属世田谷と竹早の受験生離れが一巡し、難易度の回復傾向が鮮明になろう。筑波大学附属とお茶の水女子大学附属は、来年度の入試で動きが大きくなりそうだ。

■高校入試

豊島岡女子と本郷の高校募集停止が象徴的だが、優秀な受験生が高校入試を選ばない傾向が鮮明になっている。学校側も高校入試で優秀な受験生が集められなくなった。諸事情から高校入試を選択する受験生は、国立か都立を狙わざるを得なくなった。さもないと、中学入試では平易な難易度しかない私立校の高入枠へ進まざるを得ない。

特に、都立高校進学校に残念になった女子受験生の受け皿として最適な、私立女子校や私立共学校が、ほとんど残っていない。江戸川女子くらいだろうか。男子も城北くらいしか残っていない。どちらも都心からのアクセスは良好とは言えない。

■中学入試・公立中高一貫

大学進学実績が好調だった桜修館の人気が高まる。特に男子で顕著に現れそうだ。小石川や都立武蔵の進学実績も好調だったため、新たに公立中高一貫を併願校に選ぶ難関私立中学受験生のご家庭が増え、上位校の難易度はさらに上昇する。小石川は男女ともに最高難易度を更新する可能性がある。桜修館は男子が更新しそうだ。

一方で、両国が全体として平易化する。特に女子の平易化が顕著となり、昨年度に難易度でほぼ並ばれた白鴎の女子に逆転される可能性がある。小石川、都立武蔵、桜修館に難関大学進学実績で水を開けられたことが大きいが、近年続く大規模災害への警戒から、わざわざ一級河川を超えさせてまで、水害リスクや地震リスクの高い城東地区へ通学させようとは思わない受検生保護者が増えたようだ。

両国は、高校入試でも、都立小松川高校に城東地区トップ校の地位を完全に奪われる。中学入試では城東地区優秀層の都心方面への進出は続くだろうから、好転材料を見つけるのが難しい。高校募集停止により中学募集定員拡大が見込まれるので、今後さらにボトムラインが緩くなる可能性がある。

白鴎はグローバル教育に舵を切ったことと、帰国生の入学枠を拡大させたことで、特に女子受検生の心をとらえた。女子は、国際教育の充実した白鴎と、交通の便が良く災害リスクの少ない九段が人気となる。

富士は女子のボトムラインがさらに緩む。しかし、男子のボーダーは緩まない。これは理数教育の推進を評価する男子受検生親子が多いことによる。富士は、女子にアピールできる魅力に乏しく、女子枠の低迷が続く。

男子は、桜修館の難化に注意が必要だ。女子は、九段と白鴎の激戦に注意が必要だ。

小石川は名実ともに都立トップ校の地位を固めることになる。都立中トップ校と言う意味ではない。そんな当たり前のことを、わざわざここで書かない。都立トップとは3年制都立高校を含めてのトップということだ。つまり、都立トップ校は、日比谷ではなく、小石川になったということだ。

これはデータと共にいずれ詳説したい。