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三田学院

[2020年1月25日]

【私立中】大学附属人気一巡、男子校へ回帰の動き

中学受験の東京入試まで1週間を切り、今年度の出願状況の傾向が鮮明になりつつある。

予想通り、巣鴨、世田谷学園、昭和女子大学昭和が大幅に志願者数を伸ばす。

昭和女子大学昭和は、すでに危険水域を突破して、前年比200%に迫る勢いである。このまま行けば、難易度は偏差値換算で3〜5ポイント上昇するかもしれない。

そうなれば、昨年なら合格できていた受験生は、ことごとく不合格になる。昨年の難易度なら上位合格できるような受験生しか合格できなくなるリスクが高い。

巣鴨と世田谷も、かなり危険な状況に突入している。昨年度の合格者平均あたりが合否ラインになるのではないだろうか。偏差値換算で2〜3ポイント前後の難易度上昇が予想される。昨年と同じ感覚でチャレンジする受験生は、ことごとく不合格をくらうことになりそうだ。

巣鴨や世田谷で増えた受験生は、どこから来たのか。

男子進学校は、どこも顕著には減らしていない。実は、減らしているのは大学附属系の男子枠である。特にMARCH系だ。昨年後半にゴタゴタが続いた大学入試改革に、男子受験生親子が敏感に反応した模様だ。

来年度からの大学入試改革は、英語民間試験の見送り、共通テスト(一次試験)における記述試験の見直しで、名実ともに何も変わらない。

わざわざ大学入試改革の不透明リスクを回避して、大学附属校を志望する理由がなくなった。この動きは男子受験生で鮮明だ。その矛先の多くが巣鴨や世田谷へ向いたのである。

しかし、想定外の志願者数の増加は、この世相に敏感な親子を窮地に追い込むことになるかもしれない。そのまま大学附属校を受験しておけば、全年と同じ難易度度で確実に合格できたところを、難関大学合格率で割安感のでていた男子進学校へ出願先を変更したことで、難易度上昇のあおりを受けて、想定外に不合格となる受験生が増えそうだ。

昭和女子大学昭和の急増した女子受験生は、どこから来たのか。

ずばり、多くは、おなじ渋谷系の実践女子だと考えられる。実践女子は大きく志願者数を減らす勢いだ。理由は、多くの私立中学が急速に教育内容の改革を行っている中で、出遅れ感が強いことではないだろうか。ライバル校と比較して目新しい材料が乏しかったことが、受験生を大きく減らす要因になった模様だ。渋谷駅周辺の大規模工事が続き、通学路が危険なことも一時的に影響しているかもしれない。

昭和女子に次いで志願者数を伸ばしそうなのが、跡見である。ここしばらく低迷が続いていたが、入試改革や教育改革をアピールしたことで受験生が戻る。

すでに巣鴨、世田谷に出願してしまった受験生親子は、もうこれ以上受験生が増えないことを祈るしかない。もしくは、すでに支払ってしまった受験料を捨てて、もともと狙っていた大学附属校にダブル出願し、そちらを受験するという手もある。

昭和女子に出願してしまった受験生親子も、もうこれ以上受験生が増えないことを祈るしかない。その上で、併願プランを見直して、後半日程や午後日程の最適校や安全校を見直すなどの対策をするか、ダブル出願して、昭和女子の出願を捨て、難易度が上昇しそうにない女子校を受験したほうが安全であろう。

これから出願する受験生親子は、学校のホームページなどで、出願者数の状況をよく確認されるのがよかろう。昨年の出願者数は、パンフレットやホームページの入試結果の欄に掲載されていることが多い。