[2020年1月28日]
都立中入試と違い、ほとんどの学校で難易度や日程が選べる私立入試は、記念受験やお試し受験する受験生の比率は相対的にかなり低い。ほとんどの受験生が最終的には現実的な受験校を受験する。そして、ほとんどが、どこかの私立中学校に入学する。
私立中受験生親子は、入念な志望校選びを経て、出願に至るケースがほとんどであろう。大手塾の推奨や、受験雑誌の推奨や、教育評論家の推奨や、時代背景や、世相や、時事問題などを参考にはしながらも、最終的には自らの意思で受験校を最終決定したと考えている親子がほとんどではないだろうか。
しかし、自分の意思で決定したつもりが、本当の自分の意思とは違う選択をさせられている受験生親子も、少なくないように感じられる。
年度ごとの過度な人気の変遷が、そのことを裏付ける。
大幅なリニューアルを行った学校や、新設校でもない限り、それぞれの学校の教育内容は劇的には変化しない。しかし、過度に人気が上昇したり、下落したりする学校がある他、大学附属校や、共学校や、新設校など、カテゴリーごとに人気の移り変わりが鮮明になる事例が散見される。
これまで注目を集めていた「大学入試改革」が、直前になって実質的には何も変わらないことが広く知れ渡ったことで、今年度は、大学附属校人気が急速にしぼみ、大学進学実績が良好な大学附属ではない進学校の人気が急激に盛り上がる。その傾向は男子受験生で顕著である。その余波は、大学附属でない難関共学校にさえ及んでいる。男子の志願者数が激減している共学校が数多く見られる。
自分で考え、自分で意思決定したつもりが、実は何者かに踊らされている。
得体の知れない怪物に、評価や、判断や、意思決定を、操られている。
そうかもしれないことに、気がついている親子は、どれほどいるのだろうか。