パソコン版を見る

三田学院

[2020年2月20日]

【都立中】コースに「算数選抜」コース創設

都立中入試は、一昨年度入試から、さらに難易度を上げ、新たなステージに入った。もちろん、難易度上昇は総論であり、上位校や中位校の一部で難易度上昇は鮮明でありつつも、シンプルに難易度上昇では語れない現象も同時進行している。

新たな手を打ち続けなければならない。

指導内容については、年度の途中で会っても、柔軟に対応可能である。何月何日に何をするというような、凝り固まったカリキュラムには縛られていないからだ。新たな情報が入りしだい、常にタイムリーに対応できる。

しかし、タイムリーに変更できないのは、実は生徒募集である。新小4から時間をかけて丁寧に指導していくことを前提としているため、この春に入塾する新小4は、約3年後の受検ということになる。入塾時点の前提と、受検時点の前提が大きく変わっている可能性がある。

直前期に、ちゅっと対策すれば大丈夫なほど、都立中入試は甘くない。

話しは一旦変わるが、大学入試改革が予定されながら、不透明な期間が長らく続いた。しかし、この間、私立の中高一貫校は様子見をしていたわけではない。

まず教育内容だが、大学入試改革を前提として大胆に改革を進めた私立中高一貫校が多い。

それだけではない。入試改革も大胆に進んだ。

英語入試を導入する学校が大幅に増えた。英語を含む3教科入試も増加した。また、帰国生入試を導入または拡充する学校が増えた。

1教科入試、得意教科入試を導入する学校も増えた。世田谷学園、巣鴨、品川女子、普連土などが、立て続けに「算数入試(算数1教科入試)」を導入し、この分野では老舗の、高輪や攻玉社に追随する形で大成功した。山脇は「国語1教科入試」の他、実質的に「理科1教科(探求)」入試も導入した。

下位校を中心に、都立中受検生のおこぼれ頂戴作戦として「適性検査型入試」を導入する動きが続いたことは、多くの人が知るところだ。難関校のいくつかは、適性検査型と見かけは似てはいても中身が違う「合科型」入試などで対応した。

ここ10年から15年の間、根本的な出題方針や出題方法を変えなかった、公立中高一貫校の適性検査型入試とは違い、私立中高一貫校の入試改革は急速に進んだ。

私立中高一貫校の入試改革が、さほど大きく注目されなかった理由の一つとして、伝統の4教科入試を軸に、算数入試や、午後入試などを、同時並行して展開したことが考えられる。従来の入試タイプもしっかり残した上で、新しい入試タイプを導入しているので、大きな混乱は起こらなかったのだ。

この同時並行戦略は私立中高一貫校側にとってとても都合がよい。新入試で試し、成功したら継続拡充し、不発ならフェードアウトすればよい。また、多様な入試タイプから入学してきた生徒を6年間追跡調査して、どの入試タイプが好ましい生徒をより獲得しやすいかを分析することができる。そしてなにより、多様な入試タイプで入学してきた生徒が混在することで、多様性が高まり、相互に刺激し合ったり、相互に競い合ったりして、予期せぬ好ましい変化が起こることも期待できる。

これとは反対に、公立中高一貫校の適性検査入試は、ここ15年ほど、大きな入試改革を行っていない。むしろ旧態依然とした入試を継続しているとも言える。いずれ制度疲労を起こす可能性を否定できない。

受検指導する立場からすると、何が起こるか分からない入試に、タイムリーに適応していくことが、常に求められる。

しかし、塾生は入試の約3年前に入塾し、対策を始める。

3年後を、どんぴしゃりと完全に予測することは難しい。

新しい学習指導要領で「英語が正式教科」となる。この影響も不透明だ。附属校型の都立中で高校募集が停止になる。この影響も完全には見通せない。東京オリンピック終了後の景気の落ち込みが心配されている。費用的に有利な公立中高一貫校への志望がさらに高まるかもしれない。

一つの適応策として、受験指導する側も、私立中高一貫校のような、多様な生徒を募集するという戦略も取っておくべきだろうと、考える。

その一環として、まず、都立中コースに「算数選抜」コースの導入を検討している。都立中の適性検査が選抜機能をさらに強化するならば、算数が標的になる可能性がある。

すでに、難関私立中学入試の算数を攻略できるような力がないと、都立中の適性検査算数を完全攻略できなくなってきている。適性検査算数がさらに難化することを想定すると、「あゆみ」で算数が「オールよくできる」程度の力では、これまで以上に太刀打ちできなくなる。

とは言っても、難関私立の算数と、都立中の算数では、出題傾向が大きく違うため、難関私立算数を攻略できただけでは、都立中に確実に合格することは難しい。適性検査算数のみ攻略することを目指した指導では、実は適性検査算数の完全攻略は難しい。この点が、適性検査算数攻略上の難点である。

適性作文対策については、早い段階から対応してきた。

適性算数、適性理科、適性社会の高難易度化についても、ここ数年で対応を完了できたと思う。

難関私立受験生との厳しい競争についても、今年度の合格実績から、対応できたと一旦総括したい。

次に取り組むべきは何か。

塾生のハイレベルな多様性の確保かもしれない。

その試みとして、「都立中コース」に「算数選抜」(Cコース以上に対応)の導入について、慎重に検討したいと思う。

私国立中受験生向けのコースである「中学受験コース」(最難関コースと難関コース対応)も、「算数選抜」を導入することで効果が上がるかもしれない。

「算数選抜」は、都立中向けコースや私国立向けコースで、募集基準を若干緩和して募集することを想定している。代わりに、算数の能力を判断する追加の基準が必要となるだろう。

従来の都立中向けのコースや、従来の最難関中学と難関中学向けのコースとおなじく、大手中学受験塾の選抜クラスに入るよりは遥かに簡単だが、大手中学受験塾の下位クラスに入るよりも易しくはないレベルであることは、実質的に変わらないので、基準の緩和ではない。

実力がありながら報告書の評価が振るわないために入塾できなかった受検生の受入れ余地を拡大することにして、より多様性な塾生を確保するのが目的だ。

報告書点数のハンディを補うだけの力を算数に依存することになるので、算数は「算数選抜」以外のコース生よりも、有意に高くなければならない。

イメージしやすいように数値化すると、算数のみの偏差値(しゅともし相当)で、新小4時点で、SS65以上を予定している。新小4を想定した出題範囲となるので、ほぼ全く受検対策をしていない候補生でも、SS70以上をマークすることは、さほど難しくないだろうと思う。

以後、入塾時期が遅くなるほど、つまり受験準備期間が短くなるほど、徐々に難易度を上げていくことにする。「算数選抜」の最終目標は、受験直前まで、受験算数で、少なくともSS65以上を、可能ならSS70を維持することだ。小3や小4なら算数偏差値70以上はさほど難しいことではないが、小5や小6まで算数偏差値70以上を維持することは容易ではない。

もっと具体的に言えば、男子なら高輪や世田谷学園や巣鴨などを、女子なら品川女子や普連土などを、算数入試で突破できるようなレベルだ。

準備の関係で、導入は早くても4月以降となろう。来年度募集からになるかもしれない。

そもそも入塾意志や継続意志はなく単に力試しをしたいだけの「冷やかし行為」対策や、安く合格ノウハウや受験対策アイデアなどの盗用を企む「スパイ行為」対策も講じるべきであろうと思っている。己の悪意に自覚がないまま接近してくる人がいる。己の卑しさを知らないまま接近してくる人もいる。

教室の様子や、塾生の様子や、指導の様子や、指導者の様子などを、突然覗きに来る人が後を絶たないが、指導が中断するなどで塾生に大きな迷惑がかかることがあるので、ご遠慮を願いたい。また、防犯上の問題もある。よって、素性が分からない人は、ドア越しにインターフォンでの対応とさせていただくので、事前にご承知を願いたい。

この多様化により、大手中学受験塾に喰いものにされてきたような受検生はもちろん、大手都立中専門塾や大手塾都立中専門コースや介護施設型中小塾に騙され続けてきたような受検生を、一人でも多く救済できたらと思う。


*資料請求いただきましても、資料送付はしません。
*体験授業をお申込みされる際は、募集基準の充足状況の詳細を、必ずお知らせください。
*お申込み内容に不備がございます場合は、体験授業のご予約は成立しません。