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三田学院

[2020年4月1日]

【休校延長】その先にあるモノ

東京都立大学(旧、首都大学東京)は、3月半ば早々に、新年度の開講時期をゴールデンウィーク明けまで延期すると発表した。

そして、都立高校と都立中学は、都立大学とおなじく、ゴールデンウィークまでの「休校延長」に向けた調整に入った。

私立大学でも、青山学院大学が、新年度の開講時期をゴールデンウィーク明けまで延期し、その後は「オンライン授業」で対応すると発表した。

ここで気をつけなくてはならないのは、受験学年生である。学校休校の延長は、受験勉強そのものの先送りを許容することはない。

今回の感染症拡大で、新中3は実質的に部活動が停止になっている。もうすでに実質的な部活動の活動停止から1ヵ月が過ぎようとしている。このまま本格的な活動が再開されないまま、6月上旬頃に引退時期を迎えることになるであろう。

これは何を意味するか。例年なら6月上旬の部活引退から高校受験勉強の最後の追い込みに本格的に参集する「部活組」が、3ヶ月早い3月から、本格的に受験勉強に入ることができたということだ。つまり、3ヶ月受験勉強の本格化が早まったことになる。春期講習期間が、例年の「1〜2週間」から、「1ヶ月超」へと大型化した。フルに参加すれば、夏期講習を前倒しで実施したのと同じ勉強量が確保できたことになる。

臨時休校をよいことに、長い春休みを謳歌していた層や、まだ春だからと中途半端にしか取り組まなかった層は、大きな後れを取ったことになる。

これは、新小6中学受験生にも、新高3大学受験生にも言える。学力の2極化はここでも大きく進行したであろう。それより重大なのは、どんな状況でもしっかり取り組む層は、今回もここまでしっかり取り組んだであろうから、来春の難関校の受験競争は、いつになく熾烈を極めることになるだろうということだ。

あなたは、新型コロナウィルス対策での「勝ち組」になれているであろうか。

ところで、都立高校と都立中学や、区立小中学校などの公立学校は、多くの私立進学校と比べ、教育現場のICT化が大幅に遅れている。

大手学習塾でも、受験指導の主力は、旧態依然とした「人力の集団授業」のままだ。

提供している「在宅受講」は、その魅力が、まだ十分に知れ渡っていないと思われるため、状況によっては、より多くの人にご理解いただけるようなキャンペーンを実施するかもしれない。

長年の経験から有意に学習効果が期待できないことが確認されている通信教育や、集団授業の補完しかできないWEB代講授業とは、一線を画するものであることをご理解いただけると思う。すでに多くの方に学んでいただき、効果が実証できている。

そもそも、どんな方策を講じても学習意欲の向上が期待できない層や、未知なるものへの適応能力のない層には、在宅受講に限らず、どんな方策であっても、効果は期待できないので、従来通りに、募集基準と募集期日を設定させていただくことに変わりはない。

さて、今回の新型ウィルス感染症であるが、人類は急激な人口増加と、先進工業国以外の国々への経済発展の拡大から、産業革命以前には踏み入れてこなかった「野生動物の領域」を大きく侵食するようになり、これまでは野生動物にしか感染しなかったウィルスが、どんどん人類にも感染拡大するようになってしまった。

動物由来のウィルスによる文明の崩壊は、これまでにもあった。インカ・アステカ文明の崩壊は、スペインの軍事力が強大であったというよりも、スペイン人が持ち込んだ動物由来の感染症が要因であったとの説が有力になりつつある。免疫や抗体を持たないアメリカ原住民たちは、未知の感染症によって次々に倒れていき、高度な文明は崩壊したのである。

ここでふと、「国際理解教育推進」や「グローバル・リーダー育成」に、一抹の不安を感じずにはいられない。

経済活動のさらなる拡大、経済発展のさらなる伸長は、総論として、世界の人々を豊かにし、幸福にするかもしれない。

しかし、行き過ぎたグローバル化や行き過ぎた開発、つまり、行き過ぎた国境移動の活発化や行き過ぎた野生生物領域への侵食は、いずれ、天に向かって唾を吐くかのように人類を苦しめ、それだけでなく、地球上の生命環境を破壊して行くことになるのではないかと心配する。

たった一種類の新型ウィルスが、多くの人の命を奪い、多くの人の健康を奪い、多くの人の仕事を奪い、多くの人の学習機会を奪い、多くの人の幸せを奪い、多くの人を不安の淵に追い詰める。

これは、自覚症状のないまま、過度に傲慢になってしまった人類への、警鐘なのであろうか。

私たちは、何を深く反省すべきであろうか。そして、どう行動していくべきであろうか。

この機会に、しっかりと考えるべきであろう。

そこで求められるのは、確かな判断力の礎となる、確かな学力なのだと思う。

これが、人類の持つ、最強の能力であるからだ。


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