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三田学院

[2020年4月11日]

【文科省】が「消える授業」を容認

緊急事態宣言で、学校の臨時休校が長引く中、文部科学省は4月10日、学校の臨時休校により行われなかった授業は、学校再開後に、実施しなくて良い、という趣旨の通知を行った。

「休校中の児童生徒が家庭学習を通じて学力を身につけたと確認できる場合、学校再開後に同じ内容を授業などで扱わなくてもよいとする特例」を、全国の都道府県教育委員会に通知した。

これにより、実質的に、臨時休校により行われなかった授業は、課題などにより行ったことにして、学校再開後の授業が進められることになりそうだ。

これは2つのことを示唆しているように思う。

?臨時休校中に課された課題や宿題などにより、原則として授業は終わったことにされる。よって、この間に、学習塾などで学習指導を受けていなかった児童生徒は、この臨時休校部分の授業がスッポリ抜けることになる。当然に、学校再開後の授業が理解できない児童生徒が大量に発生しかねない。

?この通知により、臨時休校期間の「再延長」がしやすくなったと解釈できる。3月と4月の2ヶ月間に及ぶ臨時休業で、春休みと夏休みに相当する長期休業日数分が、まるごと前倒しで消えた。これ以上に臨時休校を延長すると、残るすべての期間を総動員しても、年度内に年度分のすべての授業は行えない。この通知は、たとえそうなっても、文部科学省や教育委員会や学校や教員の責任は問われないようにしたとも解釈できる。

新型コロナウィルス感染症の拡大が、GW明けまでに、完全に収束するとは考えにくい。

地球規模で考えれば、パンデミックの第2波や第3波が、今後数年かけて、地球上を襲うかもしれない。日本も大きな影響を受けることになろう。

高校受験を控えた中3生は、最も大きな影響を受けると見られる。公立高校などが、入試問題を長期の臨時休校に配慮して作成することは可能かもしれない。しかし、高校課程の学習内容まで配慮されることは限定的であろうし、大学入試での配慮までは考えにくい。

よって、高校受験を控えた中3生は、この消えた授業を、何らかの方法で、しっかりと、埋め合わせなければならなくなる。しかし、それが達成できるのは、一部に限られることになるだろう。

中3生に限らない。中1も中2も授業が消える。
中学生に限らない。高1も高2も高3も授業が消える。
中学生や高校生に限らない。小学生も授業が消える。

いずれ、彼らは、「新型コロナウィルス世代」と呼ばれることになろう。

略して、「新コロ世代」かもしれない。

学習単元の一部分が、コロッと、抜けている世代だ。

全く抜けていない世代からすると、「誰もが知っていることを知らない」不思議な世代となろう。

それだけなら、まだいい。

「ゆとり世代」も、多くは、力強く生きている。

ただ、人生は、競争が続く。

人間も生物である。生きるということは、生存競争を生き抜くということになる。

新コロ世代の一部または多くが、意図せず「不遇な人生」を歩むことになるかもしれないと、覚悟しておくべきだろう。