[2020年5月15日]
コロナ休校は、9月入学・新学期では、解決しない。
論点を適切に整理すれば、この結論に至るはずだ。
判断における重要なファクターは「コロナの感染拡大リスクを、9月になる前に、完全に排除できるかどうか」である。
今年の冬や、来年に、本格的なコロナ感染拡大の第2波や第3波が来ないという確証はない。
第2波や第3波が来れば、「9月入学・9月新学期」は、早々に破綻する。
第2波や第3波が来たら、また臨時休校しなければならないからだ。
北海道だけでなく、海外でも、第2波や第3波が、襲来している。
コロナだけではない。
近い将来、ワクチンや治療薬のない、新たな感染症拡大が起るかもしれない。
近い将来、大規模な地震が発生し、登校が長期間できなくなるかもしれない。
近い将来、国際情勢が長期間に渡り緊迫し、外出できなくなるかもしれない。
近い将来、強烈な熱波や強烈な寒波が襲い、外出できなくなるかもしれない。
いずれも「9月入学・9月新学期」では対応できない。
しかし、オンライン授業体制の整備を進めれば、何度でも対応できる。
コロナ休校は、9月入学・新学期では、解決できない。
しかし、オンライン授業でなら、解決できる。
そろそろ、この議論は幕引きしよう。
私立中高一貫校だけでなく、小石川も、九段も、日比谷も、オンライン授業を、すでに軌道に乗せている。
これからも、さらに充実させていけばよい。
今さら「9月入学・9月新学期」になどされたら、大混乱して弊害ばかりが噴出しかねない。
どうしたら良いかは、この小さな塾で、はるか昔に実証実験が済んでいる。
心配しなくてもよい。
「9月入学・9月新学期」に関して言えば、まず大学で「4月と9月」など、2つ以上の時期に入学可能にするところから始めるのがよい。センター試験に相当する共通試験を、年に2回以上実施するという手もあるし、4月入学以外は、AO入試や推薦入試や二次試験型入試を中心に実施する手もある。すでに私立大学では約半数がAO入試や推薦入試の入学者だから違和感も少ないだろう。
授業料や設備費なども、実際の入学時期や卒業時期に合わせて支払うような仕組みにすれば、不公平や過度な負担は発生しないであろう。
この「年複数時期入学制」が軌道に乗ったら、高校なども「年複数時期入学制」を検討してもよいかもしれない。小中学校は、その後にどうするのが良いかじっくり検討すればよい。
何が何でも「9月入学・9月新学期」に固執する必要はない。世界全体では、「9月入学・9月新学期」を採用する国は、約半数程度だ。日本だけが「9月入学・9月新学期」と違うというわけではない。
最終的には、大学は「常時入学・常時卒業制」とするのが、もっとも現実的で、ムダがなく、競争力も維持向上させやすいと思う。企業も「新卒4月一括採用」ではなく「常時採用・常時入社」に徐々に移行して行けば、人材採用をより効率的に行えるようになる。「就職浪人」も実質なくなるし、「就職氷河期」などの世代間の不公平も緩和できる。
年に何度も入学のチャンスがあれば、入試に一度失敗したからと言って、1年後を待つ必要はなくなり、「受験浪人」という言葉もなくなるかもしれない。
この案なら、試行錯誤しながら柔軟に最適解を探ることができる。一度に大失敗をして、一気に大混乱に陥るような、最悪な事態を回避しやすい。
これがベスト・アンサーではないかと思うが、どうだろう。