[2020年5月16日]
いまだに「9月入学・9月新学期」の議論が続いているが、論点として検討すべき重大な議論が、抜けているように思う。
海外の一部の国に合わせて「9月入学・9月新学期」とするならば、現行の「4月入学・4月新学期」から、5ヶ月入学時期を遅らせるのではなく、7ヶ月入学時期を早めなければならない。
5ヶ月入学時期を遅らせて、かつ5ヶ月卒業時期を遅らせたなら、1年遅れの「9月入学・9月新学期」となるからだ。
それだけではない。児童自身や、生徒自身に、何も落ち度がないのに、国や自治体などの都合で、実質的に「留年」や「落第」を強要することは、個人の権利を著しく侵害しかねない。
学校を卒業したら家業を手伝う予定だった人は、それが叶わなくなる。あと1年で学校を卒業して進学や就職ができると思っていたのに、それが半年後や1年後になってしまったら、人生設計が根本的に狂いかねない。
繰り返すが、学校臨時休校が長期化し授業時間数や出席日数が不足する事態が生じたのは、児童や生徒やその保護者の故意や過失などが原因ではないので、国や自治体は、卒業や進級を遅らせることを強制したり強要したりせず、当初のスケジュール通りに「3月卒業」を保障すべきだ。
「9月入学・9月新学期」の議論を行う前提として、まずこの点をクリアにしなければならないはずだ。