[2020年5月27日]
5月27日、「9月入学」の、今年度や来年度などでの拙速な導入は、見送るようにと、自民党のワーキング・チームが、政府に提言することになった。
これで良い。
また、大学入試の日程を2週間〜1ヵ月程度、後ろ倒しにすることも要望するようだ。
これも良い。
現高3生も、これで十分に救済できると思う。
この日記で、これまでに提案してきた範囲内に、しっかり収まった内容だ。
社会的な大混乱を回避でき、人生が狂うほどの深刻な被害者を出さずに済む。
悪徳政治家や、悪徳教育評論家は、自己の利益のために、罪のない多くの児童生徒を、巻き添えにしてはいけない。
「9月入学」は、感染症拡大問題とは切り離して検討すべきだ。
政治的な思惑や、商業的な利益誘導や、個人的な自己顕示欲求や、個人的な自己正当化欲求などからは、きっちりと独立性を確保して議論すべきだ。そして、クリーンに、しっかりと、健全に、本来の目的に沿って、未来を見据えて、議論を進めるべきだ。
汚れた「9月入学」論は、これで、名実ともに「幕引き」になることを願う。
汚れた「9月入学」論ではなく、清らかな「9月入学」論なら、「9月入学」を検討する意義がある。
まず、将来に大学生となる新大学生の入学時期の複数化(本格的な4月と9月の年2回制や、本格的な年3〜4回制など)の本格導入から検討を始めるのが現実的ではないだろうか。年単位での受験浪人を覚悟する必要がなくなるという、実に嬉しい「おまけ」もついてくる。
しかも、大学生や大学院生にとって、「半年留年(半留)」や「落第」や「休学」などは、すでに制度として実際に機能しているから、仮に、「入学時期」の変更や改革が、上手く行かなかった時でも、実害は最小限に抑えられるのではないか。また、生徒が履修科目を選ぶ単位制で、そもそもフレキシビリティがあるので、初等教育や中等教育などよりも、制度の軌道修正もしやすいだろう。「半年飛び級制度」などを一緒に導入をすれば、さらに安全だ。
もちろん、清らかな「9月入学」や、清らかな「複数時期入学」であっても、相応の社会的コストは負担することになるだろうから、そこを含めて議論する必要がある。
ここで重要なことは、すでに入学済の小学生や中学生や高校生を、実質的な「強制留年」や、実質的な「強制落第」をさせてまで、小中高大の、すでに入学している全学年を一緒にして、周回遅れとなる「9月入学」に移行させる必要はないし、しなくてもよいし、してはいけない、ということだ。
長期の学校臨時休校への対策として、今すぐに取り組むべきことは、入学時期の延期や後ろ倒しではない。それは、問題解決の先送りでしかない。
OECD諸国の中で最下位となってしまった「教育におけるICT実装」の遅れを、まず急ピッチで取り返すべきだ。臨時休校長期化による授業の遅れを取り戻すことができる最も有効な対策だ。そもそも、臨時休校がなくても、進めるべき政策だったはずだ。
海外では、入学時期や卒業時期を、制度的かつ永年的に大幅に遅らせる(日本のように5ヶ月遅らせるなど)ような議論が盛り上がっているであろうか。「9月入学」を採用する先進諸国が、ロックダウンによる学校休業で、入学時期や新学期を遅らせて、永年的に「4月入学」などに変更するなどという報道は、見かけたことがない。
取組むべき課題を間違えてはいけない。
取組むべき課題を間違えていたら、「大学入試改革の失敗」のようなことを、これからも繰り返すことになる。
そして、誰も、失敗の責任を取らない。
そのツケは、いずれ児童生徒や保護者に回って来る。そして、長期的には、すべての国民にツケが回って来る。
そのことも、忘れてはならない。