[2020年6月10日]
全寮制の鹿児島県立楠隼中学校は、公立中高一貫校だから、地元公立中学と同じで、学費が無料だ。
ただし、全寮制の学校なので「寮費」がかかる。
寮だと聞いただけでパスする親子がいるかもしれない。
寮費額を見ただけでパスする親子もいるかもしれない。
しかし、寮費を「生活費」だと考えると、違う見え方になる。
この「寮の生活費」が、「自宅通学の生活費」より、実は、高いのか、安いのか、詳しく検証してみる。
男子の場合、中高6年間は、まさに育ちざかりだから、毎日の食費は相当にかかる。毎日3食だと、1日1,000円として月30,000円ほどかかる。
自宅生だと、家族と一緒に食材を調達し調理するから、家計簿を詳細につけていないと見落すかもしれないが、特に男子はかなりの金額がかかるはずだ。
寮費には、食費、水道光熱費(空調費を含む)、洗濯・ランドリー費、消耗品代、などが含まれる。
寮では、洗濯はランドリースタッフが行ってくれる。この人件費も寮費に含まれる。朝預けると夕方に自分の棚にたたまれて帰ってくる。シーツ・枕カバーはリースとなるが、このリース料も寮費に含まれる。洗濯物を洗ったり干したり畳んだりを家事代行に換算して、リース料も合算すれば、月10,000円くらいになるかもしれない。
水道光熱費も無視できない。毎日のお風呂にかかるガス代や水道代と、勉強部屋の照明代や、初夏から秋にかけての冷房費用と、冬場の暖房費用を考慮すれば、月平均で5,000円くらいが追加でかかるのでないだろうか。
ここまでで、合計金額が、45,000円になる。
これに部屋代が追加される。地方国立大学の、風呂·トイレ·キッチンが共同の一人部屋は、寮費が月に15,000円で、これには水道光熱費が含まれるので、仮に5,000円を差し引くと、純粋な部屋代は10,000円だろうか。
ここまでで、合計金額は、55,000円になる。
そうなると、48,000円の寮費は「生活費」としては、妥当な金額だと言える。
私立中学の寮費に比べれば、実はかなり良心的な金額である。私立中高一貫校の場合、寮費は、月80,000円〜120,000円が相場である。
公立中学から高校受験をする場合と比べても、学習塾代などを考慮すれば、実はお釣りがくることになる。
大手駅前百貨店型学習塾を例にすれば、月謝は1教科で約15,000円である。これにテスト代が毎月5,000円ほどかかる。よって、英語と数学の2教科を受講すると、月約35,000円かかる。3教科や5教科を受講すれば、50,000円を超えるであろう。
楠隼では、寮の学習室における学習指導は無料である。6年間、塾代や予備校代がかからず、その分の費用が浮く。そもそも、夜間に寮から外出できないから、塾には通えない。
楠隼中:月48,000円
地元公立中学に進み、高校受験となると、生活費はおなじようにかかるから、部屋の家賃を含めなくても、生活費として、かなりの金額が必要になる。
公立中:月45,000円(塾代0円)〜95,000円(塾代50,000円)
よって、寮「生活費」は、割高ではなく、むしろ安い。
年に数回、帰省費用や送迎費用などの交通費がかかるが、羽田空港⇔鹿児島空港の航空運賃は、大手航空会社の「早割」や「早得」を利用する他に、格安航空会社の「格安」航空券を使えば安く済む。在校生や卒業生の多くの保護者にヒアリングしたが、航空運賃は負担に感じないそうだ。むしろ、霧島温泉郷や指宿温泉郷や、種子島や屋久島など、6年間でじっくり九州各地を旅することができて、とても楽しかったという人も多かった。
帰省費用や送迎費用を、家族旅行費だと思えば、行き先がやや限定されるだけで、自宅生の家族旅行費もかかるだろうから、大差はなくなる。
東京⇔大阪を夜行バス、大阪(大阪南港)⇔鹿児島(志布志港)をフェリー(旅客運賃のみ)という手もある。
マイカーで、高速道路やフェリーを使って往復するよりも、格安航空券で鹿児島空港までを往復し、鹿児島空港でレンタカーを借りた方が安く上がるだろう。
自宅から通う都立中高一貫校や公立中高一貫校の場合は、給食費か弁当代と、通学定期代がかかる。スマホ代もかかる。塾代がかかる人も実は多い。
食費で30,000円、「通学定期代として月5,000円」を合わせて月35,000円、水道光熱費5,000円を合わせて40,000円となり、差は8,000円に縮まる。クリーニング代や洗濯代行費用を加味すると50,000円になり、若干だが逆転する
ここまでで、寮費とほぼかわらなくなる。
地元公立中で考えてみると、「通学定期代」としてかかる月5,000円を控除し、代わりに「塾代」として月35,000〜50,000円を合計すると、月80,000円〜95,000になり、大きく逆転する。
楠隼中:48,000円(寮費+塾代0円)
都立中:50,000円(生活費+通学定期代+塾代0円)
公立中:80,000円〜95,000円(生活費+塾代35,000〜50,000円)
楠隼はスマホは常時使用禁止で、実家に帰省するなどで寮を長期退出してからでないと電源を入れられないから、持っている意味がほとんどない。寮に戻る学期始めに寮監に預け、学期終わりに電池切れで戻って来るだけだ。
スマホを持たせる意味はないので、スマホ代はかからずに済む。家からは寮の固定電話に電話すれば呼び出してくれる。家に電話するときは、寮のピンク色の公衆電話で行う。
寮ではゲームは禁止で、インターネットやメールも共用のパソコンを使うしかないから、WiFiなどの通信費もかからない。テレビも、自由時間に、共用スペースにあるテレビを、みんなと一緒に観るしかない。
休日の自由時間には、寮に100台以上ある使用料無料の自転車を借りて走り回るしかないから、交通費はかからない。近くに、渋谷やお台場のような大規模な商業エリアや施設はないから、お小遣いもほとんど減らない。おやつ代くらいだろうか。最寄りの商店やコンビニも近くはないから、どうしても欲しい時にしか入手しなくなる。毎日3食を寮で食べるから、友達とのおつきあいや会食の費用もかからない。
よって、自宅から通う都立中高一貫校や公立中高一貫校と比べても、けっして高くはなく、むしろ安いことが、ご理解いただけるであろう。
しかも、誘惑がほとんどない環境で、存分に勉学に励める。
都立中か、私立中か、地元公立中かが、選択肢のすべてではない。
見かけの費用は、
地元公立中<都立中<楠隼中<私立中
かもしれない。
しかし、実質的な費用は、見えない費用もすべて考慮すると、
楠隼中<都立中<地元公立中<私立中
では、ないだろうか。
中学受検に失敗し、地元公立中学から高校受験をするとなれば、中学受検と高校受験の準備で「大手塾への通塾費用」が累計で相当かかることになり、
地元公立中≒私立中
あるいは、
私立中<地元公立中
になるかもしれない。
「中学受検が残念なら、高校受験で頑張りましょう」は、不合格を前提に、中学受験コースと高校受験コースの2回とも通ってもらうよう仕向ける「悪徳商法」であることに、早く気がつくべきだ。
6年間カモにされた後で気がついても遅い。失われた6年間は取り戻せない。それどころか、中学受験も高校受験も、ともに大失敗したら、十代の半ばにして早くも、未来も将来も失ってしまう。
中学受験か高校受験のどちらかで、キッチリ仕上げてあげようと努めるのが、常識ある態度であろう。
話しは戻るが、
東京都心でも入学試験が実施されるから、鹿児島まで入試を受けに行く必要はない。
入学試験は1月下旬に行われるので、都立中や私立中と入試日程が重ならない。
「寮費」への見方が変化しただろうか。
「楠隼」も選択肢に入れてみようと思うようになっただろうか。
ところで、
今春、楠隼に教室からの初めてとなる受検生を、2名送り出し、その2名ともに合格した。
2名受検、2名合格で、合格率は100%だ。
晴れて入学式に臨む姿が、現地民放局のニュース番組で放映され、それを観て、とても感動した!
すっかり優等生の風貌になった先輩の姿を見て、後輩塾生たちも、大いに歓喜した!
また、楠隼中に合格者を送りだせることを、楽しみにしている。