[2020年6月23日]
都立中学の入学試験は適性検査であることは、誰しも承知していることだと思う。
しかし、都立中学入学後の学習指導が適性検査型ではないことまで、正確に承知していない人は少なくないようだ。
加えて、地元公立中学の学習指導が適性検査型ではないことも、正確に認識されていない人が少なくないようだ。
さらに言えば、大学入試で、都立中など公立中高一貫校からの受験生と、私立中高一貫校からの受験生が、別の入試問題を課されることなどないということも、すっかり考えから抜け落ちている人も少なからずいらっしゃるようだ。
いくつかの塾や、何人かの教育評論家が、都立中など公立中高一貫校は、私立中高一貫校や、都立3年生高校や、私立3年制高校などとは、根本的に違う教育をしているかのような、扇動的な宣伝を行っているようだが、これに騙されてはいけない。
先日、公立中高一貫校に向けた受検勉強をすれば、正しい学習習慣がつくが、私立中高一貫校へ向けた受験勉強をすると、正しい学習習慣はつかず、誤った学習姿勢が身に付くかのようなことを宣伝している塾を見かけたが、これも注意して聞いた方がよかろう。
何も根拠がない。
公立中高一貫校に向けた受検勉強をすれば、誰もが、正しい学習習慣がつくとは限らない。
確かに大手私立中学受験専門塾の受験指導には問題点が多い。これは大手難関高校受験塾の受験指導にもあてはまると思うが、とにかく生徒を最後まで退塾させずに、いかに高額な授業料を正当化して見せるかの戦略が具体化したものなので、そこには多くの問題点があることは確かだ。
しかし、難関私立中高一貫校や難関高校の受験指導は、こうした営利最優先の大手塾だけが手掛けている訳ではないし、地元の中小塾なら適切な受験指導をしているとも限らない。むしろ問題の多い大手塾からスピン・オフした講師が立ち上げた中小塾も多いので、本質的におなじような弊害があることが多い。
公立中高一貫校の受検勉強をすることで正しい学習姿勢がつくのではない。私立中高一貫校の受験勉強をすることで誤った学習姿勢がつくのでもない。
正しい学習姿勢や正しい学習習慣がつくような受検指導や受験指導をすれば、正しい学習姿勢や正しい学習習慣がつくのであって、公立中高一貫校を目指すのであっても、正しくない受検指導を受ければ、正しい学習姿勢や正しい学習習慣はつかないし、私立中高一貫校を目指すのであっても、正しい受験指導を受ければ、正しい学習姿勢や正しい学習習慣はつくのである。
しかも、個人差もあるから、正しい学習姿勢や正しい学習習慣がつくような受検指導や受験指導をすれば、誰であっても、正しい学習姿勢や正しい学習習慣がつくとは限らない。本人が拒めば難しくなるし、親が拒めば埒があかなくなる。
難関私立中高一貫校ではなく、難関私立中高一貫校並みの学習指導が受けられる公立中高一貫校に向けた受検対策をすれば、正しい学習姿勢や正しい学習習慣がつくというのは、ウソだ。
そういう宣伝文句に騙されてはいけない。
心地よく聞こえるような根拠のない文句を大々的に謳うのは、ただ生徒を多く集めて利益を上げたいだけか、あるいは、合格させられなかった際に備えての事前の言い訳だ。両方を企んだものかもしれない。
保護者が見抜かなければ、子は犠牲になる。
ウソをまき散らかしている本人が、自分がウソを言っていることにさえ気がついていないこともあるかもしれない。そうだとすると、さらに厄介だ。
スタッフの人柄や印象で塾を選んでいるような人も注意が必要だ。
一流の詐欺師は、詐欺師には見えない。
だから、騙される人が、後を絶たない。
本気で正しい学習習慣をつけさせてあげようとしたり、本気で学力や合格力を伸ばしてあげようとすれば、常に七福神のような指導や対応ばかりを、してはいられないはずだ。
ウソが人を喜ばせることもあろう。
真実が人を怒らせることもあろう。
しかし、それをもって、ウソを正当化することは、できない。
冷静に考えれば分かることだとは思うが、早く気がついていただきたいから、あえてここで書いておく。