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三田学院

[2020年7月7日]

【都立高校】出題範囲一部除外の誘惑

都立高校の出題範囲の一部除外は、すでに広く知れ渡った。

「出題範囲の一部除外」の言葉の響きだけで、中身をよく確認せずに、自己に都合よく解釈している受験生親子がいるかもしれない。

しかし、「出題範囲の一部除外」で、大幅な出題範囲の除外はない。
実は、「出題範囲の一部除外」で、出題範囲はほとんど変わらない。

そう解釈するのが適切だ。

しかも、難関私国立高校を一般受験する受験生は、ほとんど影響がない。

一方で、私立高校推薦入試(単願入試)を利用する受験生は、実質内申だけで合否が決まるから、出題範囲の僅かな変更も、なんら影響はない。

「出題範囲の一部除外」を、自己に都合がよいように解釈した受験生の多くは、例年とさして変わらぬ大変な受験勉強に直面して、敵前逃亡の誘惑にいとも簡単に負けてしまうだろう。

港区では、最終的に都立高校入試に臨む受験生は、全卒業見込者の、つまり全高校受験生の、約3割程度しかいない。一部、難関国立や難関私立高校に一般入試で抜けるが、それは極少人数で、ほとんどは、私立推薦入試(単願入試)という名の、実質無試験選抜で、私立高校へ進む。

正真正銘の無試験合格では学校側も格好がつかないし、受験生は自己肯定感や自己有能感が怪しくなるから、形式的な試験は行われる。しかし、出願時点で合格は決まっているから、形式というより儀式でしかない。欠席しなければ合格である。

長期の学校臨時休校で、もともと怪しかった学習習慣を崩壊させ、「出題範囲の一部除外」で緊張感を緩めてしまった受験生が、辿り着く現実は厳しい。

だらしない多くの受験生とおなじような、思考パターンや行動パターンに陥ってしまった受験生は、もともとだらしなかった受験生とおなじ末路を歩むことになる。

コロナは引き金であって、原因ではなかった。

原因は、今までだらしなく育ってきたことだ。

コロナ臨時休校が長期間に及んでも、しっかり受験勉強に取り組んだ受験生が多くいたのだから。