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三田学院

[2020年8月5日]

【中学入試】栄東の入試日程に動きアリ

令和3年度の中学入試におけるコロナ対応日程が徐々に発表されつつある。

7月下旬に発表された栄東のコロナ対応を深読みする。

1.運動場を駐車場として利用可(予約制)
2.1教室あたりの受験生数を25人に制限
3.座席にアクリル板を設置
4.サーモグラフィーで発熱者を検知
5.フェイスシールドやマスク着用での受験

ここまでは、想定内だ。

入試日程に大きな変更がある。

1.AとB日程は、1回と2回日程に変更
2.1回日程は、1月10日と12日の選択制
3.旧東大1(11日)が廃止
4.東大2(16日)が特待生入試に
5.1月29日に、欠席者向け追試験

つまり、10日(A)、11日(東大1)、16日(東大2)、18日(B)が、10日または12日(1回)、16日(特待)、18日(2回)、29日(追試)となる。

ここからが深読みである。

旧A日程が、10日と12日の選択制となったことで、1月10日に開智(1回)を併願受験する道が開けた。10日に開智(1回)で12日に栄東(1回)とすれば、どちらも1回目の入試日程で受けられるので、ダブル合格が取りやすくなる可能性がある。また、11日の東大?がなくなったことで、開智の先端特待を併願受験できる。

代わりに、12日の栄東を選択すると、大宮開成の特待入試や、開智の先端Aが受けられなくなる。

10日に栄東を受けると、12日は開智(先端A)か大宮開成(特待)のどちらかになるのは、昨年とおなじだ。

16日と18日は実質例年通りだ。

29日の追試は、日程の重なる埼玉や千葉の難関校がないのが、東京・神奈川日程の直前になるので、評価が分かれるだろう。

そして、ここから、深層に迫る。

栄東のコロナ対応日程は、実は、昨年度入試で激しく人気化した、大宮開成を潰すことになる可能性があるのではないかという仮説だ。

大宮開成の令和3年度募集要項は、7月1日に発表された。栄東の新入試日程は7月29日に発表された(すでに7月23日頃にはアナログで開示されていた)。

大宮開成の入試日程は、昨年度とおなじで、10日(1回)、12日(特待)、14日(2回)だ。

栄東の日程変更は、大宮開成の1回目(10日)と特待入試(12日)に、日程をぶつけた形となる。

しかも、栄東の1回入試の合格発表は、10日を選んでも12を選んでも13日の発表となる。栄東の1回目で、10日を選んでも、12日を選んでも、結果が不明のままなら開智を優先する受験生が多くなる可能性があるから、そうした受検生は、大宮開成は14日にしか受験しない。

さらに、14日は栄東と開智の合格発表の後になるから、栄東や開智で合格が取れた受験生は、もう14日の大宮開成を受けないという選択をする受験生が多くなる可能性がある。大宮開成の14日は、特待スライド合格を獲るのが難しいから、栄東か開智で合格が取れた受験生は、14日に一般合格しても、さしたる旨味はない。

つまり、栄東や開智から、大宮開成に流れる受験生を抑制することになるのではないかという仮説だ。

ただし、特待狙いの受験生にとって、11日に開智の先端特待、12日に大宮開成の特待、16日に栄東の特待と、特待入試に3回挑戦できるので、旨味のある日程になるかもしれない。その場合、最も合格が取りやすい埼玉入試解禁日の1月10日に、どの学校を受験すべきか悩ましいだろう。順当な判断なら、栄東か開智、そして大宮開成の順であろうから、栄東にとって、実質的に、大宮開成のこれ以上の急伸を押さえておくことも可能になりそうだ。

よって、埼玉のツー・トップを、改めて確定させるように作用する日程変更かもしれない、ということだ。

男子なら、1月10日に城北埼玉の特待入試という選択肢もあるので、さらに面白い。はたして受験生はどう動くだろうか。

女子は、浦和明の星(14日)も、淑徳与野(13日)も、共学ツー・トップと日程が重ならないので、栄東と開智を含め、10日から14日まで続けての連投もできる。

ただ、コロナ不安があるから、東京日程が本命の受験生は、ほどほどの受験校数や受験回数に絞ってくることが予想される。

大宮開成は、今後に日程等を変更する可能性があることを発表しているので、この栄東の日程変更や開智の新日程を見て、変更があるかもしれない。

そうなると、泥仕合いに発展するかもしれない。

興味深い。

次回は、東京日程と埼玉以外の首都圏中学入試について考察してみたい。