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三田学院

[2020年8月25日]

【都立中】と楠隼

夏期講習の最終日となった先週末、その日は、多くの学校では夏休み最後の日でもあった。

今春、鹿児島県立楠隼中学に合格し進学した塾生が、東京での短い夏休みを終えて、学寮に戻るための出発前に、保護者とともに教室に挨拶に来てくれた。

入塾前には全くのノー・マークであった素晴らしい学校を紹介してもらい感謝しているとのことであった。

お話しを伺うにつれ、想定以上に素晴らしい学校であるとの認識を強めた。

保護者からは、開口一番、中学入学後も学習習慣がしっかりと続いていることに大いに満足しているとのお言葉があった。多くの中学生が、中学入学後に、部活に疲れるなどして実質ノー勉に近い状態になることとは対照的なことだ。学寮における朝学習と夜学習の効果が絶大なようだ。学寮での学習指導はおもに教員が担当する。

学寮の寮監は10人以上いて、それ以外に、食事やクリーニングや清掃スタッフもいる。食事は実に美味しいらしい。料理のお替りもできて、育ち盛りの男子には実に嬉しいようだ。

学寮での自由時間は、学友の部屋に集まって宿題を一緒に取り組んだり、分からないところを教え合ったり、時にはふざけ合ったりと、毎日が修学旅行状態なのだそうだ。原則スマホの使用は禁止、ゲーム機の持ち込みは当然禁止、テレビには制限があり、消灯時間は厳しい。しかし、とても楽しい。

休日の自由時間には、学友とともに、学寮に100台以上ある自転車を借りて、大型複合商業施設や、ファミリーレストランなどに、出かけるらしい。ファミリーレストランへは、学友とともに、朝に昼食不要の届出をして、勉強道具を持って出かけ、門限が近くなるまで勉強しながら過ごすことが多いらしい。

県内からの入学組の保護者も優しい人が多いそうだ。休日に家族キャンプに誘われ、実子のように可愛がってくれたそうだ。

東京からの入学組の保護者の会も実に頼もしいそうだ。定期的に東京保護者の会が開催され、情報が共有されるので、安心できるだけでなく、会合への参加が楽しみらしい。

東京保護者の会に属する同学年の保護者の子弟には、つまり東京からの入学者には、都立中学に合格しながら入学を辞退して、楠隼に入学した学友が含まれているそうだ。東京保護者の会の最も親しいお仲間も、都立中の入学辞退組らしい。

短い夏休みは、かつての小学生時代の仲間と会って楽しく過ごしたようだ。保護者は、もう学寮には戻りたくないと言い出すのではないかと心配したそうだが、夏休みの終わりが近づいて恐る恐る聞いたら、実は早く学寮に戻りたかったのだそうで、また安心して送り出せると安堵したそうだ。

新型感染症の影響で、学寮のある学校への入学を心配している方がいるかもしれない。しかし、楠隼に関しては想定以上の対策が取られていて、保護者としても、入学者本人も、何ら不安はないらしい。むしろ、学寮生活により、危険な世界と接触する機会が少ないことを安心されているようだった。

都立中を辞退してでも入学する価値のある公立中高一貫校。それが楠隼だという思いを強くした。

もちろん、楠隼は、第一志望としても、大いに満足できるだろう。