[2020年9月9日]
9月に入って、立て続けに、模擬試験会社のご担当者が教室を訪問された。
こちらから訪問をお願いしたのではない。先方が自主的な判断でご来室されたのだ。もともと定期的にご来室されていたが、9月上旬になぜか集中した。
いくつか、非常に有益で興味深い情報をいただいた。
いただいた情報をしっかり咀嚼した上で、整理して、まとめてみる。
一つ、コロナの影響は、3月〜5月は深刻で、模擬試験受験者数も教材販売売上も、危機的な状況にまで落ち込んだ。
一つ、この間、大手を含め塾や予備校のほぼ9割以上が、生徒数を減らし、売上も減少となった。コロナでとどめを刺され閉鎖に追い込まれた塾や予備校が多く見られた。
一つ、生徒数や売上を失った塾や予備校には、収入機会がぜい弱な層が多い地域を地盤とするか、収入機会がぜい弱な層を顧客としているところが多かった。
一つ、一方で、生徒数を維持増加させ、売上高を維持増加させた塾や予備校もあった。共通点は、オンライン授業体制に早期に切替えられたか、もともとオンライン授業体制を持っていたか、オンライン授業が主体の塾や予備校であった。
一つ、緊急事態宣言終結後の6月以降、塾や予備校業界は、模擬試験受験者数も教材販売売上も、驚異的な回復を見せた。
おまけ、だが、政府の個人向け定額給付金支給が行き渡った影響も、顕著にプラスに働いたようだ。外出自粛ムードから、熱心な子育て世帯では、定額給付金の使途は、レジャー支出や観光支出へは向かわず、手堅く教育支出に向かったようだ。
さらに、おまけ、だが、東京に隣接するある県の状況についての情報が興味深かった。あまりに深層に喰いこむ情報なので、ここではご紹介できない。
ここまでが、客観的な事実だ。
ここからが、深読みだ。
一つ、コロナにより受験熱や受験需要は衰退しなかった。緊急事態宣言下で一時的に需要が先送りされただけで、緊急事態宣言解除後に、その需要がまとまって顕在化した。
一つ、オンライン指導体制は、塾や予備校にとって、必須の指導手段の一つであるとの認識が広まった。ただ対応が難しい教場も多くあり、残念だが多くは窮地に陥っている。保護者の認識が大きく変わったので、もはや復活は厳しいかもしれない。
一つ、来春の中学受験も高校受験も、全体として競争が緩和することはない。
一つ、むしろ、コロナの影響で、競争が過熱する分野や領域が出る。
一つ、コロナの影響は、小5や中2以下で、顕著に表れてくる可能性を、現時点では、完全否定できない。
一つ、塾や予備校など、民間教育関連事業には、しばらく厳しい淘汰の嵐が吹く。
具体的な予測については、機会があれば、改めて記したい。
中学受験も高校受験も、コロナ拡大前における予想とは、大きく違った激戦となる見込みとなってきた。