[2020年9月22日]
都立中学は「入試倍率が高いから合格が難しい」のだと、いまだに思っている人がいるようだ。
本当に、「倍率が高ければ合格が難しく」、「倍率が低ければ合格は難しくない」のか。
また、「都立中学の倍率は高いが、私立中学などの倍率は高くない」のか。
どのような証拠や根拠をもとに、そう判断したのだろうか。
その判断は、正しいのだろうか。あるいは、その判断は適切なのだろうか。
検証してみる必要がありそうだ。
プロパガンダに洗脳されてはいないか。
プロパガンダとは、特定の考えや、特定の意識や、特定の行動へと誘導することを企んだ、情報操作や心理操作のことである。
あるいは、巷のウワサを鵜呑みにしていないか。
必ずしも悪意があるとは限らないだろうが、過去の歴史を見れば、プロパガンダにって、真実が捻じ曲げられ、誤った方向に誘導されて、多くの悲惨な被害者を生んだ事例は、数えきれないほどある。ナチスの選民思想の高揚がこの例となろう。
おなじく、必ずしも悪意があるとは限らないだろうが、根拠のないウワサを信じて、多くの悲惨な被害者が出た事例は、数えきれないほどある。関東大震災の際の虐殺事件などが、この例となろう。
十分な注意と、慎重な対応が求められる。
まず、国公立中学の入試倍率と入試難易度を比べてみる。2020年2月のデータである。偏差値は、しゅともしの結果偏差値を用いた。
筑波大学附属中(女):実質倍率4.3倍、偏差値75
小石川中等教育(女):実質倍率5.2倍、偏差値72
桜修館中等教育(女):実質倍率6.8倍、偏差値67
白鴎高校附属中(女):実質倍率7.3倍、偏差値64
倍率が高ければ難しい(合格難易度が高い)とは、明らかに言えないことが、わかる。
実質倍率と難易度が逆行する関係が、実に美しく確認できる。
私立中学でも比較してみる。
桜蔭1(女):実質倍率1.9倍、偏差値77
豊島2(女):実質倍率2.5倍、偏差値76
雙葉1(女):実質倍率3.3倍、偏差値74
品川3(女):実質倍率5.1倍、偏差値64
*学校名の後の数字は入試日。1は2月1日、2は2月2日。
実質倍率が高いから合格は難しいとは、必ずしも言い切れないことが、ハッキリわかる。
国公立と私立を混合してみる。
ここでも、実質倍率が高いから合格は難しいとは、必ずしも言い切れないことが、ハッキリわかる。
桜蔭1(女):実質倍率1.9倍、偏差値77
豊島2(女):実質倍率2.5倍、偏差値76
筑附3(女):実質倍率4.3倍、偏差値75
雙葉1(女):実質倍率3.3倍、偏差値74
小石川(女):実質倍率5.2倍、偏差値72
桜修館(女):実質倍率6.8倍、偏差値67
品川3(女):実質倍率5.1倍、偏差値64
白鴎附(女):実質倍率7.3倍、偏差値64
すべてのデータを例示してはいないが、これだけで、「入試倍率が高いから合格が難しい」ということに対する「反証」としては、十分であろう。
「入試倍率が高ければ合格難易度が高い」は、「真」ではなく、「偽」である。
都立中学は「入試倍率が高い」という認識自体が、そもそも、正確ではない。
以下、実質倍率の例である。名目倍率ではない。
暁星3(男):20.6倍
成城5(男):12.4倍
巣鴨4(男): 9.7倍
本郷5(男): 9.5倍
世谷4(男): 7.2倍
昭和3(女):24.3倍
共立3(女): 8.1倍
品川3(女): 5.1倍
東邦東邦3(共):16.9倍(女)
市川市川4(共):13.8倍(女)
法政大学5(共):11.8倍(女)
広尾SG5(共):11.7倍(女)
渋谷幕張2(共): 9.8倍(女)
渋谷渋谷5(共): 9.5倍(女)
この他にも、高倍率の私立中は、たくさんある。
都立中に限らず、定員割れや、実質定員割れや、超低倍率な入試でない限り、不合格になる人は、たくさんいるのである。
まともな入学試験で、合否を分けているのは、倍率ではない。
あなたは、だれかに、騙されてはいないか。
それとも、
あなたが、自分や他人を、騙しているのか。