[2020年10月8日]
今年の夏ほど、短いと感じた年は、近年なかったように思う。
本格的に夏入りしたのは8月になってからで、9月になると早々に秋の気配が感じられて、10月には早くも冬を予感させるような寒さとなった。
冬が本格化すれば、入試シーズンが近くなる。
正月が明ければ、早々に埼玉や千葉で中学入試が本番を迎える。
埼玉より前に、茨城や、地方校の東京入試が、始まる。
11月に入試が行われる公立中高一貫校もある。
冬期講習が打ちあがる頃には、ほぼ仕上がっていなければならないということだ。東京日程が本命の受検生にとっても、1月8日以降は、前哨戦やプチ本番や最終調整の期間となる。
つまり、実質的な本番開始まで、残り3ヶ月を切ったということである。
さて、令和3年度と4年度の入試について、おもな変更点を整理しておこう。
■令和3年度
都立武蔵高校附属中:高校募集停止
都立富士高校附属中:高校募集停止
お茶の水女子大附属中:4教科入試 → 適性?・?・?入試へ
筑波大学附属中:8教科入試 → 4教科入試へ
茨城県立中高一貫校:水戸第一と土浦第一と勝田中等(仮称)が中学募集開始
川口市立高校附属中:中学開校、中学募集開始
川崎市立川崎高校附属中:高校募集停止
本郷中高:高校募集完全停止
聖徳大学附属女子:共学化、光英ヴェリタスへ校名を変更
■令和4年度
都立両国高校附属中:高校募集停止
都立大泉高校附属中:高校募集停止
茨城県立中高一貫校:水海道第一と下妻第一が中学募集開始
豊島岡女子中高:高校募集停止
この他に、私立中学で、新たに算数単科入試や国語単科入試などを始める学校が多い。
算数入試や国語入試は、伝統的な適性検査型入試対策だけの受検生にも、取り組みやすいような錯覚を与えるかもしれない。
しかし、進学校の算数単科入試は、スバラシク算数が得意な受検生にしか、合格の可能性はないことを、知っておくべきだろう。
進学校の算数単科入試は、私立学力試験型で周到に準備してきた受験生でも合格を取るのは難しい。まして、自称まあまあ算数が得意な程度の受検生が、太刀打ちできるような入試ではない。
実質短期決戦の中学入試東京日程で、受験機会の一部を無駄にしないためにも、受検生親子は、冷静に己の能力を評価して、併願日程戦略を立案すべきだろう。
算数入試伝統校の高輪も攻玉社も、算数入試新設校の巣鴨や世田谷も、私立御三家クラスの算数力をもつ受験生どうしの闘いとなっている。
普連土や品川女子なら、女子御三家ほどでなくても合格の可能性はあるが、女子新御三家レベルの算数力は求められる。
国語単科入試は、算数単科とはかなり趣が違う。導入しているのは準進学校に多いので、算数単科ほど激烈ではない。
しかし、中堅上位の山脇などでも、国語単科入試では、普連土や品川女子の4科入試を突破できる程度の国語力が最低限必要になる。つまり、合格には一ランク上の国語力が少なくとも必要だということだ。
ここからが最も重要なことだが、伝統的な適性検査型受検対策しかしてこなかった受検生は、おなじような難易度、つまり偏差値がおなじ学力試験型私立中入試に、まったく歯が立たない傾向にある。そのことをどれだけ客観的かつ正確に認識できているかも怪しい。
伝統的な適性検査型受検対策しかしてこなかった受検生が、算数単科入試や国語単科入試で合格を目指したければ、「しゅともし合判模試」や「四谷大塚合不合模試」で、算数や国語の偏差値をよく確認してから臨むべきだろう。
くれぐれも「(四谷大塚主催)全国統一小学生テスト」などの無料模擬試験の偏差値で検討しないようにしたい。本格的な中学受験生向け有料模擬試験(四谷大塚合不合模試、しゅともし合判模試)よりも、偏差値で10〜20ポイン高く出るので、判断を誤りかねない。
ただ、将来に高校受験を予定しているなら、少しは参考になるかもしれない。
雰囲気を味わうことができいなくもない無料体験模試にしか過ぎない。
中学受験で合格を競うライバルは、その試験会場には、ほとんどいないことも、知っておくべきだろう。
あなたが見ている世界は、誰かに仕組まれたか誘導された、仮想現実の世界かもしれない。