[2020年10月13日]
入試倍率が6倍なら、合格率はその逆数の6分の1、つまり、16.7%だ。
合格率が、3.5人に1人なら、合格率は7分の2、つまり、28.6%だ。
大手塾の合格率は、相当程度水増しされていることがあることは、薄々気がついている人も多いだろう。
多くは、大手塾主催の模擬試験を受検しただけの他塾生や、大手塾が開講した直前講習を受講しただけの他塾生や、志望校名を冠した講習を受講しただけの他塾生を、自塾の合格者として取り込むことで、水増しされる。
説明会参加者や無料講習受講者までも取り込んでいるという噂もある。
その水増し率を、3割増〜5割増と、仮定してみよう。
水増し率が3割の場合、0.286×(1−0.3)=0.200が、つまり20.0%が実際の合格率である。
水増し率が4割の場合、0.286×(1−0.4)=0.172が、つまり17.2%が実際の合格率である。
17.2%は、ほぼ、全体の合格率に等しい。
水増し率が5割の場合、0.286×(1−0.5)=0.200が、つまり14.3%が実際の合格率である。
14.3%は、受験者全体の合格率を下回る。
ある都立中の塾別合格者数を合計すると、大手塾だけを合計しただけで230人を超え、定員の160人を大きく上回る。
この都立中では、入学者にアンケートを毎年実施していて、大手塾からの合格者比率は、年により50%〜60%とのことだ。
この都立中の入学者は、大手塾から60%、大手以外が40%なので、単純計算で、大手全体からのの合格者数は、160×0.6=96人という計算となる。
入学辞退者がいて、繰り上がり合格となり、入学した人がいることを差し引いても、かなり数字が合わない。
仮に、繰上合格者が30人いて、その60%が大手塾出身だったとしよう。
96+18=114人
230÷114≒2.0
つまり、水増し率は、30%や50%どころではなく、100%という計算になる。
これほど大掛かりな水増しは、合格者の絶対数が大きい、大手塾が加担しないと起こりえない。
ある年、ある大手塾が、23区内のある都立中に、約60人の合格者を出したと発表している。
ある都立中は、1学年で160人で4クラスだ。
60人の合格者がいるなら、1クラス平均で15人在籍していることになる。
しかし、この都立中の通学者に聞くと、クラスに5〜6人くらいしかいないと言う。
友達ではない、別のクラスの、複数の都立中生に聞いて、おなじような数の回答が返ってきた。
1クラス15人と、1クラス5〜6人では、ほぼ3倍も、違う。
すべてを調査した訳ではないから、他のクラスにもっと多くいるのかもしれない。
また、多摩地区や23区西北部などでは、5〜6人より、もっと多いのかもしれない。
しかし、このような実態でも、多くの人が、大手塾が発表する合格者数や合格率を、そのまま鵜呑みにしてしまう。
そうしたことが、毎年、繰り返されている。
全ての人が見抜くことはできないだろうから、数字のトリックは、これからも繰り返されるであろう。
簡単に、今日のまとめをしておく。
大手塾の都立中の合格者数は、公表数字の、70%か、50%くらいに思っていた方が、よいかもしれないということ。
3.5人に1人が合格と言われたら、厳しく見積もると、7人に1人しか合格させられなかったかもしれない、ということ。
つまり、合格率は14.3%。
全受検者の合格率16.7%よりも、低い合格率だということ。