[2020年10月24日]
秋も深まり、受験シーズンの到来を予感させるような季節となった。
どの塾でも受験指導が佳境を迎える時期であろう。
そんな中、中学生に続き、小学生でも、嬉しい知らせが届いている。
多くの人が受けたであろう、独立系最大手の適性検査型の模擬試験で、塾生2人が、志望校別(第一志望)の総合成績順位で1位を獲得した。
志望校は、もちろん、どちらも都立中である。他県の公立中高一貫校ではない。
小6:志望校別1位
小5:志望校別1位
ちなみに、他県の公立中高一貫校でも、志望校別1位を獲得した塾生がいる。
志望校別1位を獲得した塾生は、いずれも小4入塾である。
まあ、小4入塾でなければ、合格させられないとまでは、言わない。志望校別1位でなくても、定員以内に入れれば、合格はできるからだ。
ただ、短い期間で実力をつけて、その上で仕上げていくとなると、受検生本人がつらいかもしれない。
具体的な偏差値は、データを悪用されてはいけないので書かないが、そろって、偏差値は約70であったことを申し添えておく。
ただ、好成績による気の緩みには注意していただきたい。
今回、ここに記したのは、もちろん、自慢話をしたいからではない。
今年の成績推移を確認していて、確信したことを記録しておきたいからだ。
過年度以前を含め、すべての塾生のデータを検証していて、興味深い傾向が浮かび上がってきた。
学力試験型模擬試験の偏差値の上昇 → 適性検査型模擬試験の偏差値の上昇
この因果関係が鮮明だったのだ。
学力試験型模擬試験の偏差値が上昇した後に、若干のタイムラグをおいて、適性検査型模擬試験の偏差値が上昇している。
ここで重要なのは、
適性検査型模擬試験の偏差値が上昇した後に、学力試験型模擬試験の偏差値が上昇したのでは「ない」ということだ。
これは、極めて重要なことを、示唆していると思う。
正)学力の向上 → 適性検査突破力の向上
誤)適性検査突破力の向上 → 学力の向上
鋭い人なら気がついたであろう。
適性検査対策に取り組むことで、学力が向上するのではない。
学力は、学力向上に直接的に取り組むことで、向上するのだ。
適性検査対策のみに取り組んだら、その後に、前向きになったとか、成長したとか、たくましくなったとか、しっかりしてきたとか、主観的な意見を聞くことはある。しかし、ただ学齢が上がったことや、たまたまちょうど成長期に入ったことが、要因ということかもしれない。
学力を向上させることで、適性検査突破力を向上させることが、できる。
学力を向上させることなしに、適性検査突破力を向上させることは、難しい。
そもそもすでに学力が高い人が、そこから学力を向上させようとしなくて、ただ適性検査突破力のみを向上させようとして、成功することはあるかもしれない。
しかし、
そもそも学力がずっと低いままの人が、学力を必要な水準まで向上させようとせずに、ただ適性検査突破力だけを向上させようとしても、成功するのは難しい。
近道をしたい気持ちはよくわかる。
しかし、本当の近道は、脇道だと思っていたコースなのだ。
この脇道に思えてしまうコースこそ進むべき道だったのだ。
しかも、脇道に見えてしまった道こそが、王道だったのだ。
近道をしたつもりが、ムダなことをしていたでは、意味がない。
もちろん、ここで言う都立中合格に必要な学力とは、難関私立中入試突破のための学力とは違う。受験学力が高いだけでは、都立中は合格できない。
「受検学力」と命名しておこう。
不合格率の高い、不合格者数の多い、どこかの適性検査対策指導とは、考え方も指導の仕方も違う。
真実を見抜く力をつけてこそ、都立中への道は、開けるのだ。