[2020年11月10日]
都立中の合格力を上げるために、まず取り組むべきことは、学力を向上させることだと、何度も書いてきた。
そして、なぜ学力を向上させることが、合格力を上げることになるのかも、何度も説明してきた。
では、学力を向上させるためには、どうしたらよいのかを、わかりやすく、具体的に、書いておく。
わかりやすいように、今回は、形式的な側面に焦点を当てて説明する。
秘訣:学力を向上させたければ、模擬試験を定期的に受けて、活用すること。
模擬試験は、入試が近づいた小6や中3から定期的に受けるようになっても、遅い。
中学受験を目指すなら、模擬試験の受験は、小3から開始すべきだ。
高校受験を目指すなら、模擬試験の受験は、小4から開始すべきだ。
なぜか?
模擬試験を受けなければ、学習内容の到達度を客観的に把握することは難しく、取り組むべき課題が明確にもならない。それは、効率が悪いばかりか、適切な取り組み方針を立案することにもつながらず、ただ漫然と学習するだけになってしまい、学力向上の観点からは、極めて非効率だからだ。
合格か不合格かを分けるのは、つきつめれば、間に合うか間に合わないか、の違いだ。
中学受験を目指すなら、小3は年2回以上とし、半年以上の間を開けなければ良い。小4からは年3〜4回で十分だ。しかし小5からはほぼ隔月が、小6はほぼ毎月が好ましい。
高校受験を目指すなら、小学生のうちはは年3〜4回で十分だ。しかし中1からはほぼ隔月が、中3夏からはほぼ毎月が好ましい。
中学受験を目指すなら、小3から中学受験向けの模擬試験を受けるべきだ。ただし、無料の公開テストなどは、偏差値がかなり甘く出るので判断を誤りかねないため、学力向上の障害となる怖れがあるのでお勧めしない。
高校受験を目指すなら、小4から高校受験向けの模擬試験を受けるべきだ。ただし、無料の公開テストなどは、偏差値がかなり甘く出るので判断を誤りかねず、学力向上の障害となりかねないためお勧めしない。
中学受験で進学校以上への合格を目指すなら、ヤマ場は実は小5で訪れる。それまでの取り組みの差が、顕著に表れだす頃だ。小6で届かない分を詰めようとしても、ほとんどの場合、もう手遅れだ。実は周回遅れのランナーになっているということが多いからだ。
高校受験で進学校以上への合格を目指すなら、小5と小6の基礎固めが絶対的に必要だ。その上で、中1から高校受験の対策に本格的に取組まないと、進学校は届かなくなる。中1や中2で定期テストだけの勉強ばかりしているようでは、本試験に十分に対応できない。中3後半の伸びが全く違ってくる。
数学(算数)と英語は、遅くても小5から、将来の高校受験を意識して取り組むべきだ。さもないと、中学になって、あれよあれよと目に見えて引き離される。小学校と中学校では、学習内容の難易度も、学習スピードも、学習する量も、格段に違う。小学内容の理解が不十分でも、それを取り戻すための、時間的余裕も、体力的余裕も、精神的余裕もなくなる。
小4内容では、計算のきまり、計算のじゅんじょ、計算のくふう、を完璧にしておかないと、命取りになる。
小5内容では、分数、割合、公倍数と公約数、平均、単位量、を完璧にしておかないと、命取りになる。
中学受験するなら、小学校で学習する算数の全てを、小5で終えられないと、進学校への合格には間に合わなくなる。
中学生になって、数学と英語に時間を取られていては、理科と社会も怪しくなる。定期テストだけに取り組んでいたら、高校入試を実力突破することが厳しくなる。早ければ中2の後半から本格的に失速し、もはや浮上しずらくなる。特に数学で顕著だ。中3では、頑張れど頑張れど浮上しなくなる。
進学校を目指して地道に取り組むなら、英語は、中2の夏頃には終えたい。英語は、新中1でのスタートダッシュが非常に重要となる。
英語圏からの帰国子女か、家族が英語ネイティブでもない限り、英単語の綴りの規則性や英文法の仕組みなど、母語である日本語との違いにしっかり着目しながら、イッキに英語の世界に慣れ親しみ、英語学習の基礎基本を構築する必要がある。この段階では勉強が得意かどうかはほとんど関係ない。むしろ、母語の習得レベルの方が影響する。母語における基本的な言語能力が低いと、英語の習得も初期段階から進まないので、注意が必要だ。
語句のみや感嘆詞ばかりの日本語会話しかしていないと、外国語会話もそのレベルになってしまう。
漢字や語句が不正確で、会話を正しい文法に従った文章で行えないようだと、外国語会話もそのレベルで停滞してしまう。
幼少期から英会話スクールに通っていたかどうかの違いも、ほとんどの場合は、すぐにその差は解消するので、過度な心配はいらない。英会話スクールにも通っている塾生と、通っていない塾生では、むしろ通っていない塾生の方が英語の成績が良い傾向にある。英会話スクールに通っているのに英語の成績は「3」しか取れず、通っていないのに英語の成績が「5」など、頻繁に起こる。英会話スクールと英語の成績には、ほとんど相関性がない。むしろ、受験英語に真面目に取り組んだかどうかと、英語の成績との間の相関性が、有意に高い。
進学校を目指して地道に取り組むなら、数学は、中2の冬頃には終えたい。ただし、計算や単純な図形の学習ばかりで、算数的な思考力や、数学的な思考力を養う取り組みが甘いと、どこかで突然に数学が苦手になってしまうので注意が必要だ。スピードよりも、十分な勉強時間を確保して、しっかりと、基礎基本や原理原則を理解し、活用できるようにしておくことが重要だ。
英語や数学だけでなく、中2や中3から入試本番までの残り期間は、総仕上げと、記述対策と、難問対策と、志望校対策となる。
進学校を目指す受験生にとって、英語と数学を中2で一旦終えられたとしても、残り期間に、実はまったく余裕はない。
闘う相手は、本試験会場で競い合う相手は、早期にハイレベルな水準まで仕上げてくるからだ。
こうした受験対策を可能にするためには、模擬試験を活用するべきだ。
健康診断や体力測定だと考えれば、納得しやすいだろう。
模擬試験料を節約しようとするのは、健康診断や人間ドックの受信費用を節約しようとするのと同じだ。
早期発見と早期治療の重要性は、ここで説明するまでもないだろう。
模擬試験料を節約しようとするのは、体力測定や運動能力測定を怠ることと同じだ。
体力不足や筋力不足や柔軟性不足で、難易度の高い運動に挑めば、成功する可能性よりも、故障する危険性が高くなる。事前にどの程度の激しい運動に耐えられるかを認識してから取り組むべきだ。
中学受験で進学校を目指す場合でも、高校受験で進学校を目指す場合でも、まだ学習内容が易しい小3や小4の段階で、偏差値70以上を目指したい。小3や小4早期までなら、それまでの基礎基本がしっかりしていれば、かなり容易に達成できる。
しかし、ライバルたちが本格的に参戦してくる小5や小6になると、偏差値70を達成したり維持したりするのは、かなり難しくなってくる。油断すると、むしろ急降下するので気をつけた方がよい。それ以上に、小5や小6から開始して、いきなり偏差値70を実現するのは、ほぼ不可能に近い。むしろ、頑張れど頑張れど伸びないという、蟻地獄に落ちたような、泥沼にはまったような、苦しみを味わうことになりかねない。
そんな状況では、学習モチベーションを維持することすら、厳しくなり、親子で憔悴する日々を送ることになりかねない。親が苛立ち過ぎて、子が逃げ出したくなるようなケースが多くなる。
苦しまずに進学校への道を切り開きたいなら、出遅れずに、適切な模擬試験を活用しながら、先行逃げ切りの覚悟で取り組むくらいが、丁度良い。それでも逃げ切るのは容易ではない。
秘訣:学力を向上させたければ、先に示した適切な時期から、適切な模擬試験を定期的に受けて活用しつつ、効率的かつ効果的に受験対策を進めること。
中身については、これも何度も書いているので、今回は割愛する。
気が向いたら、また改めて、説明したい。