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三田学院

[2020年11月18日]

【都立中】適性とは何か

適性とは何かを、受検生親子は、適切に理解できているであろうか。

公立中高一貫校に向いている子とは、どんな子か。

巷には、いろいろな俗説があるようだ。

公立中高一貫校が示す、入学してほしい生徒像は、恣意的に解釈しようとすれば、いかようにも解釈できる。実際に、自己に都合よく解釈しているように見受けられる親子も少なくない。

適性がある子とは、どんな子か。

一言で言えば、「指示通りに動ける子」である。
さらに言えば、「指示通りに動く子」でもある。

公立中高一貫校が入学してほしい子というのは「指示通りに動けて、指示通りに動く子」である。つまり、「指示通りに動けず、指示通りに動かない子」は「公立中高一貫校が入学してほしい子」ではない。

適性検査では、「指示通りに動けて、指示通りに動く子」かどうかが、試される。そして、「より指示通りに動けて、より指示通りに動く子」から順に合格となる。

では、「指示通りに動ける子」とは、どんな子か。

適性検査では、設問を正確に読み取ることができ、設問の指示通りに課題に取り組むことができ、設問の指示通りに解決策を示すことができる子のことである。

そのためには、前提として、知識・技能や、思考力・判断力・表現力、そして、主体性に取り組む力、多様性を理解できる力、協働して課題解決する力が、必要となる。

知識・技能や、思考力・判断力・表現力は、まさに「学力」であることは、これまでに何度も説明してきた。

主体性・多様性・協働性では、その学力が、学校や社会などの共同体が抱える幅広い課題領域において、適切な指向性をもって発揮できる力が備わっているかどうかが問われる。

よって、ただ学力があるだけでは、合格は難しい。しかし、学力がなければ、もっと合格は難しい。

報告書では、小学校における学習活動課程において、そうした力が、恒常的に求められ評価される。つまり、適性検査当日の試験問題だけでは、その瞬間の力しか見ることができないので、その補完として、長期間にわたって安定的に力を発揮できてきたかどうかを確認するため、報告書が利用される。

「指示通りに動けて、指示通りに動く子」かどうかが、適性検査点と報告書点として数値化されて、入学者が選抜される。「指示通りに動けて、指示通りに動く子」が、公立中高一貫校で学ぶ適性があると、判断されるのだ。

もう、お分かりだろうか。

適性検査問題が解けるようになるために、その「解法や技法」を短絡的に習得しようとする行為や対策は、本末転倒しているということだ。

都立中高一貫校の幹部が、あからさまに、特定の大手塾の受検指導に不快感を示すのは、このためだ。

知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性を高めることで、結果として、報告書の点数が高くなるように、そして適性検査問題が解けるようになるように取り組み、そうなることが、正しい道順だ。

「指示通りに動けて、指示通りに動く子」

公立中高一貫校が入学してほしい子であり、公立中高一貫校に合格できる子、でもある。ただし、指示の難易度が高いので、誰でも指示通りに動けるようになれるとは限らない。そのことも、忘れてはならない。