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三田学院

[2020年11月20日]

【都立中】2021中学入試

新型コロナ感染症が、ここにきて強烈な第三波となりそうな気配である。

そんな中でも、2021年新春の中学入試に向けた動きは、活況の様相を呈している。

中学受験や中学受検を目指す、受験生や受検生には、新型コロナが感染拡大する数年前の、小4早期あたりから、準備を開始していた親子が多いから、小6になってから急激な受験者数の減少が起らないのであろう。

おそらく、影響は学年が下がるほど受けやすく、感染症の影響が収束しなければ、現小5や現小4で、顕在化してくるかもしれない。中学受験学力における、中位層や下位層の、撤退ないしは見送りである。

ただ、高校受験に切替えたとしても、小学校中高学年での学力向上の取り組みが甘ければ、芳しい成果を期待することはできない。その影響は大学受験にも続いていくだろう。中学受験を撤退したり見送ったりした場合は、代わりに高校受験準備に本腰をいれなければ、ただ思考停止して時間をやり過ごしただけになるからだ。感染回避や健康維持も、中学受験に取り組むのではなく高校受験に舵を切ったことで、どれだけ有意に向上させられるのかも、未知数だ。

ここでも、学力の二極化が進む可能性がある。

さて、新型コロナ感染症の拡大とは別の要因で、2021年度の中学受験市場を特徴づける動きが、表面化しつつある。

中位校や、中位大学附属校が、受験者数を増やしそうな気配なのだ。

男子校で見ると、難関国公立大学や難関私立大学に、コンスタントに多数の合格者を輩出している進学校は、ここ数年合格を取るのが極めて難しくなった。そのことが広く知れ渡ったことで、受験生親子の中には、志望校を進学校未満に下方修正する動きが見て取れる。

受験者総数が増えても、難関私立中学の募集定員が増える訳ではないから、必然的に、増えた受験生は、より難易度の低い学校を目指さなければ、合格が難しくなる。

それを悟った受験生親子の中で、志望校というか受験校を、受験準備開始時点の時に夢見ていたような学校から、現実的な難易度の学校へ変更する動きが、大きくなりそうだ。

特に男子進学校は、ここ数年、過去にないほどの激戦中の激戦であった。

御三家や新御三家はさておき、それに続く進学校なら、なんとか合格できるかもしれないと、甘く見積もった受験生は、ことごとく辛酸をなめた。日程の最後まで受け続けても奇跡は起こらなかった。

そんな先輩パパママ情報は、いっきに巷を駆け巡る。

進学校と呼ばれるにふさわしい大学進学実績を出し続けられる男子進学校は、「しゅともし」なら偏差値60以上にほぼ限られる。

しかし、偏差値50代には、目ぼしい男子校がほとんどない。偏差値40代になると、ほぼ共学校からしか選べなくなる。もう腹をくくるしかなくなる。

そこで志願者数を伸ばしそうなのが、男子校なら獨協と日大豊山だ。続いて、共学校の東海大学附属高輪台と日大第一だ。

共通点があることが、お分かりいただけるであろうか。

いずれも、大学附属である。

大枚をはたいて受験準備をしてきたのだから、何がしらかのメリットがある学校に進学させたいと思うのは当然だろう。大学進学実績などを見ると目ぼしい実績がないゾーンの学校だが、せめて系列大学に無試験合格できるパスポートがある大学附属に入学できれば、これまではたいた大枚は無駄にならないと考えることができなくもない。

2021年度入試では、このあたりの学校で、昨年通りには合格を取れない受験生親子が増えそうだ。

女子校では、十文字が受験生を増やしそうだ。ここも、実は、大学附属である。入り口偏差値からすると大学進学実績もそこそこ良好でありながら、大学附属でもあることも再評価される可能性が高い。この流れでは、受験者数をどこまで伸ばすかわからないが、跡見も要警戒だろう。

偏差値50代では、山脇は根強い人気が続くので、引き続き気を引き締めて臨んだ方がよさそうだ。大学附属の要素も加わる昭和女子大昭和も、近年人気急上昇中なので、引き続き厳しい入試になりそうだ。

都立中を目指す受検生親子は、こうした動きまでは気が回らないかもしれないが、2021年首都圏中学入試では、2021年独特の嵐が、吹き荒れる気配なのである。

都立中についても書きたいところだが、塾生の合否に影響が出るといけないので、自重する。

実は、この私立中学入試の予想も、塾生への影響に配慮をして、かなり自重して書いたつもりだ。

都立中入試でも、私立中入試とは一味違った2021年の嵐が吹くと、予想している。

意外なところがかなり難しくなったり、意外なところがそれほどでもなかったりになりそうだ。