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三田学院

[2020年12月4日]

【都立中】適性検査問題を自分で作ってみる

塾の廊下で、太郎と花子が、次に出題されそうな適性検査問題について話し合っていました。

花子:「てこ」とか「てんびん」とかは何度も出題されてるわね。
太郎:「滑車と輪軸」もよく出題されるよ。変速機付き自転車の過去問題を解いたことがあるよ。
花子:「光と音」や「電流と電球」もよく出題されてるわ。
太郎:もう同じような問題は出ないかもしれないね。
花子:見方を変えた問題ならでるかもしれないわね。
太郎:理科の予想問題を思いついたよ。聞いてくれるかな。一郎と良子に登場してもらうよ。

以下、太郎が予想した問題。

一郎:きのう、弟といっしょに、丘の上の公園に行って遊んできたんだ。
良子:春になると桜の花がきれいな公園でしょ。
一郎:そうだよ。
良子:わたしも先週の日曜日に行ったよ。紅葉がきれいだった。
一郎:落ち葉がいっぱい地面に落ちていて、風が吹くと舞い上がるのが面白かったよ。その中を自転車で走り回ったんだ。自転車が通った後も、落ち葉が舞い上がるんだ。映画の主人公になったような気分を味わえたよ。
良子:わたしも、その公園で、自転車に乗る練習をした思い出があるわ。三輪車で遊んだ思い出もある。
一郎:三輪車は、こぐことをやめると、すぐに止まるよね。
良子:そうね。
一郎:自転車は、こぐことをやめても、すぐには止まらないよね。
良子:そうね。三輪車は、こぐことをやめても三輪車が止まるまではペダルが動いているけど、自転車はこぐことをやめたらペダルは動いていないのにしばらく進み続けるわね。
一郎:三輪車と自転車では、車輪の軸の部分の仕組みが違うんだよ。
良子:そうなんだ。どう違うの。
一郎:自転車の後輪の軸は、ネジを回す工具と同じ仕組みらしいよ。
良子:どんな工具かしら。
一郎:持ち手の部分を持ちかえずに、往復するように何度も動かすことで、ネジを締(し)めることができる工具のことだよ。
良子:わたしも、緩んだネジを締めるために使ったことがあるわ。
一郎:どんな仕組みをしているのか知っているかい。
良子:まったく考えずに使っていたわ。
一郎:意外と単純な仕組みだよ。
良子:どんな仕組みなのかしら。

問1:自転車は速度が上がると、ペダルをこがなくてもしばらく進んでいきます。この時、ペダルが動いていなくても、自転車の後輪は回り続けています。これは、自転車後輪の軸に、工夫があるからです。自転車の後輪には、どんな工夫がされているのでしょう。あなたが考えたことを説明しなさい。図を使って説明してもかまいません。

以上で予想問題は終わり。まだ、太郎と花子の廊下での会話は続く。

花子:これは小石川の適性3の予想問題かしら。
太郎:そうとは限らないと思うよ。
花子:わたしは九段を受けるつもりだから、ちょっと傾向が違うような気がするわ。
太郎:九段なら、自転車や工具のカラー写真が添えられるかもね。
花子:それを参考にすれば解けるかしら。
太郎:塾で学んだ理科の重要事項の理解と、塾で鍛えられた思考力があれば、大丈夫だよ。
花子:家に帰ったら自転車をよく見てみるわ。
太郎:ペダルを逆に回したり、こがずに走っているときに、後輪の軸からカチカチカチカチ・・と規則的な音がするのがヒントだよ。外から見える部分からでは仕組みは分からないかも。使わなくなった自転車を分解してみたら。
花子:そういえば、塾の先生が、子供のころに、自分で時計などの機械を分解したり、自分で昆虫などの生き物を解剖したりしたことを、詳しくお話ししてくれたわね。
太郎:自転車は自分で修理していたって言ってた。これこそが、体験や経験だね。
花子:レジャーやゲームを経験や体験だと思っている人もいるようだけど、それで合格できるんだったら誰も受検勉強なんてしないわよ。
太郎:レジャーやゲームをしてても合格ができるのなら、そもそも塾に通う人なんていないよね。
花子:わたしの家では、ゲーム禁止だから、ゲーム機もスマホも持っていないし、使ったこともないの。
太郎:ぼくの家は、ゲームはもちろん、テレビもマンガも禁止だよ。だから、晴れた日は公園を自転車で走り回るのが楽しみなんだ。雨の日は図鑑を読むのが楽しみだな。
花子:中学受検は親が9割って言うけど、当たってる気がする。親がレジャー三昧やゲーム三昧やテレビ三昧なら、子もそうなるよね。
太郎:ぼくの家では、親が家でも熱心に勉強するから、一緒に勉強するようになったんだ。

*機械工学で学ぶ「ある機構」について、小学生でも取り組めるように工夫して適性検査予想問題にしてみた。その機構の名称は「ラ」から始まる。身のまわりで幅広く利用されている。もちろん、機構名を答える必要はない。