[2020年12月7日]
都立中の適性検査で「パスカルの三角形」が出題されたことは前回ご紹介した。
今回は「ユークリッドの互除法」をご紹介する。
都立中など公立中高一貫校の適性検査では「図形の敷き詰め問題」が頻出である。
小学校算数の「最大公約数」と「最小公倍数」を使えば解けるが、答えにたどりつくまでに時間がかかる。また、何度も計算し続けなければならない場合がほとんどなため、計算ミスを起こしやすい。
時間さえあれば正解にたどりつけるのに、まだ正解を書き終えていない段階で試験時間が終わり、「止め」と言われてしまえば、そこで終わりだ。
また、サクサク解けていっても、途中で計算ミスを犯してしまったら、最後にスッキリしない答えになって納得できず、本格的に見直しを余儀なくされると、これまた時間切れになりかねない。
しかし、この図形の敷き詰め問題は、「ユークリッドの互除法」を使えば、「瞬殺」できる。
正確には「秒殺」できる。
先に「ユークリッドの互除法」を使って解いて「正解」を見つけておき、「ユークリッドの互除法」の考え方に従って、「解答を記述」していけば、時間に追われずに余裕をもって「満点答案」を作成することが可能だ。
このとき、答案に「ユークリッドの互除法により」という文言を入れなければ、採点者は「ユークリッドの互除法」を使って解いたのだとは気がつかないだろう。
思考力だけで、試験の本番中に、突如として「ユークリッドの互除法」を発見できるような天才は少ないであろうから、「最大公約数と最小公倍数」を習得する際に、やさしく工夫した練習問題を用いて、「ユークリッドの互除法」の基本的な考え方も一緒に身につけておくといいだろう。
センスのいい受検生だと、図形の敷き詰め問題を練習している時に、本人は気がつかないまま、「ユークリッドの互除法」を見出していることがある。典型的な小学生らしいゴチャゴチャした解答とは違い、スッキリ解いてくるので分かる。「最大公約数」と「最小公倍数」の、まさに「本質」を見抜いた瞬間でもある。
もちろん、小学生らしいベタな解法で、ミスなく時間内に解けるなら、それで解けばよい。正しい考え方で正解できていればマルである。
数学が得意な保護者が、「ユークリッドの互除法」を、数学のままで教えると、小学生は混乱するので、お勧めはしない。教えるなら、小学生向けに工夫をしてからにするのが肝要である。