[2020年12月10日]
科学技術が発展した現代においても、まだ科学的に解明されていないことは多い。
科学的に解明されていない自然現象や社会現象については、原因が科学的に説明できないがゆえに、客観的な判断がしずらくなる要因となり、迷信や思い込みを生みやすい。
非客観的つまり主観的な判断が入り込む余地が多いことは、時に厳しい状況下においても楽観的な気分を醸成しやすいなど、よいこともある反面、正確な現状認識を阻害するなど、よくない側面もある。
生物科学分野では、長らく「交配」による品種改良が行われてきた。寒さに強いイネの開発や、害虫に強い野菜の開発や、病気に強い家畜の開発などが上げられる。「交配」による品種改良は、「交配」による遺伝子情報の書き換えであり、「交配」によるゲノム編集であるとも言える。
近年、コンピュータ解析能力の飛躍的な進歩により、遺伝子情報の解析、つまりゲノム解析が飛躍的に進みつつある。
しかし、穀物や野菜や家畜のゲノム解析ならまだしも、それがヒトのゲノム解析においても、急速な勢いで進んでいることからも目を背けてはならないであろう。
ヒトのゲノム解析は、おもに医療分野において急速に進みつつあるが、それは疾病や疾患の遺伝子的な発生要因を究明して、それを治療に活かそうという試みからである。
このヒトのゲノム解析は、純粋な医療分野以外にも応用されつつある。今さかんに研究されている分野に、発達障害に関する研究がある。発達障害の決定遺伝子の特定とその遺伝状況についてである。
統計解析を用いた研究では、発達障害やてんかんなどの遺伝に関する研究は多い。親子間遺伝、特に四世代遺伝の解析では、高い遺伝性を示す研究結果が多い。
ここにゲノム解析の研究手法が加わると、発達障害やてんかんなどの遺伝性の研究が、さらに加速する可能性がある。
髪の毛の形状、目の色、耳や口の形状、声の音などは、高い遺伝性があることは、遺伝の研究が行われる前から確認されている。
運動や芸術的などの才能に、遺伝的な傾向が強いことも良く知られている。
鳥では、
ダックの子は、成長したら、ダックになる。
スワンの子は、成長したら、スワンになる。
ダックの子は、成長しても、スワンになることはない。
スワンだと思っていたら、ダックになった。
ただ、スワンの子だと、信じたかっただけ。
ダックだと思っていたら、スワンになった。
ただ、ダックの子だと、信じたかっただけ。
ダックの子も、スワンの子も、かわいい。
ダックも、スワンも、美しい。
スワンの子を、ダックとして育てるのは、どうなのだろう。
ダックの子を、スワンとして育てるのは、どうなのだろう。
スワンの子に、ダックの子にふさわしい教育をすることは、適切なのだろうか。
ダックの子に、スワンの子にふさわしい教育をすることは、適切なのだろうか。
ではヒトでは、どうなのだろうか。
ダックの子も、スワンの子も、かわいい。
ダックも、スワンも、美しい。
ダックには、ダックにとって幸せな居場所が、ある。
スワンには、スワンにとって幸せな居場所が、ある。
ではヒトでは、どうなのだろうか。
その子にとって幸せな居場所に違いなと思っていた場所は、実はその子にとって幸せな居場所ではないかもしれない。
ダックには、ダックにとって幸せな居場所がある。
スワンには、スワンにとって幸せな居場所がある。
その子には、その子にとって幸せな居場所がある。
他の子には、他の子にとって幸せな居場所がある。
その子も、他の子も、かわいい。
しかし、その子の幸せな居場所は、他の子の幸せな居場所と、一緒とは限らない。
その子にとって本当に幸せな居場所を、探してあげよう。