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三田学院

[2020年12月22日]

【都立中】意見と理由と根拠

新しい学習指導要領では、国語科において、「根拠を明確にして伝える力」と、「情報の信頼性を確認して読み取る力」が、求められることになる。

SNSの普及などで、言語を扱う環境が激変していることにも、対応したものと思われる。

しかし、この国語教育改革は、関係者がやっと重い腰を上げてくれた、という感が強い。

今や、誰でも情報発信できる時代となったが、だからこそ、「根拠を明確に示して情報発信できること」の重要性が求められる。

情報を発信するときに、合理的な意見や、意見と整合的な理由を明示できず、客観的な根拠を提示できない文章を、書いたり、話したり、プレゼンするようでは、国語力が十分に備わっているとは、みなしがたい。

誰もが情報発信するような時代だから、「不正確な情報や、間違った情報が氾濫」するようになった。「詐欺的な情報も横行」している。

情報の信頼性や信憑性を確認することができる能力を備えず、読んだり聞いたりしたまま、内容を鵜呑みにしてしまうようでは、これもまた、国語力が十分に備わっているとは、言い難い。

誤った情報に翻弄され、判断を誤るかもしれない。
悪意のある誰かに、騙されてしまうかもしれない。

誤った情報を発信することで、誰かの判断を誤まらせるかもしれない。
都合よく改ざんした情報発信で、誰かを騙すことになるかもしれない。

国語教育は、巷で話題にされている英語教育よりも、はるかに、大きな改革となる。

大人も、自分が子どもの頃にはそのような教育を受けていなかったのだから関係ない、とは言い切れない。

意見は何か?
意見は合理的か?

理由は何か?
意見と整合的か?

根拠は何か?
根拠は客観的か?

伝えたい情報は何か?
求めたい情報は何か?
その情報は正しいか?

子どもがいるなら、我が子の国語教育が大改革期を迎えるのだから、親にとっても重大事案である。

大人であっても、情報の信頼性を見抜く力や、客観的な情報を発信する力を、再確認し、磨き直す、良い機会となるだろう。

本来、適切な国語力を育成すべき教育産業の中にも、あやしい情報発信を続けている輩が少なからず存在することは、業界の恥かもしれない。