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三田学院

[2020年12月23日]

【都立中】ねつ造されたストーリー

神奈川県における、公立中高一貫対策の大手塾どうしの抗争は、「和解」という形で、いったん落ち着いたようだ。

しかし、声明文を読むと、何ら抜本的な改善があったようではなさそうである。

これまで通りを踏襲するが、行き過ぎないようにする、としか読めない。

お互いに、叩けばホコリのたつ身なので、ややこしくなるまえに、ここらで手打ちとしたのだろうか。

このままでは、また、繰り返されるかもしれない。

事実、渦中の大手塾のうちの1社は、リーマンショック後にも、おなじようなトラブルを起こしている。

知るかぎりにおいて、今回は、二度目のトラブルだ。

ただ相手が違っている。今回の当事者も、前回の当事者も、今でも何も変わらず営業を続けている。

浄化は期待できないということだろうか。

思うように「売上」や「利益」があがらないと、また過激な行動を起こす大手塾が出て来るかもしれない。

保険数理の世界では、保険事故を起こした人は、事故を繰り返すリスクが高いことを、データとして握っている。このため、自動車事故を起こした人の保険料は高くなるし、一定回数以上事故を繰り返した人は、「ブラックリスト」に載せて、業界全体で情報を共有し、業界全体でリスクの「引受拒否」をする。

刑法の世界でも、おなじような取り扱いが見られる。「初犯」は「執行猶予」がつくことがあるが、「再犯」だと執行猶予がつくことはほぼない。

犯罪を犯す人は、その後も繰り返すことが多いことを、これもまた、データなどから把握しているのであろうと思われる。

客観的で正確なデータから推定することは、将来を予測する上で、非常に精度が高い。

しかし、主観的で改ざんされたようなデータからは、何ら正確な予測は不可能である。

ただ、そこにあるのは、「ねつ造されたストーリー」だけであろう。

「ねつ造されたストーリー」を盛り上げているのは、実は、それを利用している受験生親子たちかもしれない。