[2021年1月6日]
東京都立大学の宮台教授は、若者の思考力の劣化を嘆く。
宮台教授が麻布中学に入学したころ、「考えるのは10年早い、まず暗記しろ」と指導されたそうだ。
知識や技能がなければ、思考できないことは、すでにこの日記で説明した。
知識や技能が不足していたら、思考力をつけたり、伸ばしたりは、できない。
かつて、「ゆとり教育」は、こどもたちから、ゆとりを奪った。
公立の小中学校では、将来につながる十分な教育を受けられないと見抜いた向上心の高い親は、こぞって早期から学習塾に通わせるようになった。通わせざるをえなくなったというのが実態かもしれない。これにより、こどもたちの放課後の自由な時間は、意図せず奪われることになった。
いまや、「思考力教育」が、こどもたちから思考力を奪おうとしている。
脱ゆとり教育は、思考力教育へと姿を変えた。先行した公立中高一貫校の適性検査が行われるようになってから、約20年が過ぎた。
知識教育や技能教育を悪とし、みせいかけだけの思考力・判断力・表現力教育を善とする、怪しい民間教育が、幅を利かせるようになった。
繰り返すが、都立大学の宮台教授は、ここにきて、若者の思考力の劣化が顕著だと指摘する。
「ゆとり教育」による弊害の真犯人は、文部科学省であり、教育委員会であった。
「思考力教育」による弊害の真犯人は、文部科学省でも、教育委員会でも、ない。
では、「思考力低下」の真犯人は、誰か。
この日記を読み続けてくれている読者の方なら、答えは容易に分かるであろう。