[2021年1月7日]
新型感染症の拡大が続き、受験生親子は何かと心配であろう。
都立高校では、入試当日にインフルエンザなどに罹患するなどして受験できなかった生徒に向けて、別日程で追試を実施している。
数年前までは、追試は実施されていなかった。最近始まったことである。
要望が多くて実施に踏み切ったようだが、蓋をあけてみたら、追試を受けた人はほとんどいなかったという実態がある。
令和2年度に、都区部で追試を受けた受験生は、たったの3人のみであった。都全体でも7人である。
東京都内の高校受験生総数が約6万5千人で、うち都立高校に進むのが約4万人だ。
都立高校普通科の入試倍率は1.5倍前後だから、極めて大雑把に言って、約6万人が受験する計算になる。このうち追試を受けた人は7人のみだから、追試率は、1万人に約1人ということになる。
わざわざ追試を行うほどのことではない。
一定期間の検証の後、また廃止になるかもしれない。
では、都立中入試はどうか。
ご存知の通り、追試は行われない。
都立高校の追試率のデータから推計すると、都立中受検者数は約9千人だから、追試を受ける児童数の期待値は1人程度となり、追試の制度を設ける理由とまではならない。
私立中学の一部で取り入れられている、体調不良者向けの「別室受験」だが、小学生の場合、大人のように強靭な体力はないので、体調不良のまま受験しても、試験には集中できず、ほとんどの場合に力は発揮できない。それよりも、試験会場に行きたくない、試験会場についても帰宅したい、と訴える子がほとんどとなるであろう。
私立学校が「別室受験」を認める背景には、高額な受験料がある。体調不良で欠席しても、多くの場合は返金されない。「別室受験」がないと、出願数が一定割合減ってしまう懸念がでてくる学校がある。私立学校としては収益機会を失うことになる。「別室受験」を用意しておけば、安心して出願してもらえる。しかも、別室受験する子は極めて少数なので、大きな負担にはならない。むしろ追試を行うコストを抑えられる効果が期待でき、私立学校としてはお得である。
ひるがえって都立中学だが、そもそも営利団体ではないので、受検料そのものが格安である。受検料を無駄にすることを気にして出願を見送る受験生親子はまずいない。都立中側からすれば、「別室受検」を用意してまで受験生を集めるインセンティブがない。また、「別室受検」を用意したとしても、「別室受検」するような体調不良の受検生が、合格できる可能性は大きく低下する。
このため、都立中入試では、追試や別室受検を用意しなくても、全体としては、入学者選抜を問題なく遂行できる。よって、多額の公費を投入してまで、追試や別室受検を行う意味がない。むしろ税金の無駄遣いだと批判を受けかねず、慎重にならざるをえない。
ということで、都立中入試に臨むにあたり、まずは健康管理を最優先されることをお勧めする。
健康管理能力も、適性検査の検査項目だと思った方が、よい。
それでも心配ならば、不測の事態も考慮に入れた、適切な併願戦略を組まれるようお勧めする。
すでに、過去の日記でご提案しているので、ご参照されたし。
多様な戦略を組むことができる。
親の思考力も試されるのが、都立中入試である。
親の適性も試されていると言えるかもしれない。