[2021年1月27日]
巷では、中学受験や中学受検で残念になったら、高校受験でリベンジすればよい、という意見を聞く。
学習塾の利益優先のセールストークなのか?
ふわゆる受検生親子の言い訳トークなのか?
しかし、高校受験でリベンジに成功するのは、ごく少数派でしかない。
近隣の公立中学校の高校受験の実態について確認しておこう。
港区立A中学校:1学年を100人とすると、約3分の2は、実質無試験合格の「私立高校推薦入試(単願推薦)」で私立高校へと進む。残り3分の1が都立高校を受験し、その3分の1は残念になり、多くは「私立高校併願優遇入試」で私立高校へ進む。つまり都立高校へ進むのは約20%で、そのうち進学校へ進めるのは、高々5%程度である。
1学年100人で、日比谷1、小山台1、三田1なら、進学校に進む割合は3%でしかないことになる。しかも、その全員が都立中リベンジ受験生とは限らない。
品川区立B中学校:港区A中学校と大差がない。1月22日頃に実施された「私立高校単願推薦入試」の日には、学年の約60%が欠席していたそうだ。ちなみに塾生は学年成績トップだが、この塾生の他に都立進学校や難関私立高校を受験する見込みなのは、数名程度らしい。平均合格率を加味すれば、進学校に進むのは1人か2人になるだろう。
中央区立C中学校:私立単願推薦入試で私立高校へ進む割合は、港区A校や品川区B校とほぼおなじだ。少し違うのは、都立高校進学校や難関私立中学校を受験する生徒が5名以上いるらしいことだ。これは、この中央区C校は、学年の総生徒数が、港区A校や品川区B校の倍以上もいるためだ。しかし、Vくんも、Wさんも、Xくんも、Yさんも、Zくんも、多くが果敢に挑戦するらしいよ、という情報が数多く飛び交うから、かなりの人数が進学校に進むような錯覚を生みやすいが、比率としては、港区や品川区と大差はないだろう。
港区立中学校の学区は、港区立小学校2校から3校の学区で構成されるのが一般的だ。概ね港区立小学校1校あたり10名程度が、九段を含む都立中を受検するが、1つの小学校からは1名程度しか合格しない。
東京都教育委員会のホームページでご確認いただけることだ。年により多少のばらつきはあるが、港区立小学校数は約20校、港区から九段を含む都立中学に進学するのは、毎年15名程度だ。1校から1名に満たない区立小学校すら、存在するということだ。
港区では、私立中学へ約半数が進むから、港区立中学に残るのは、「中学受験しなかった組」と「都立中残念組」となる。
港区立中学校は、1学年70人から100人で、1中学校につき、小学校2〜3校分が集約されるから、1校あたり20人程度の「都立中受検残念組」が集うことになる。
ところが、高校受験で進学校へ進めるのは、3人程度だ。
都立中受検成功率:約5分の1
都立高受験成功率:約5分の1
多くは、またしても、おなじ蹉跌を踏むことになる。
高校受験でリベンジするのは容易ではない。
地元公立中学への入学当初から、進学校を狙える学内順位を維持し続けなけらば、成功は難しい。
それだけではない。定期テストで得点できるだけでは、進学校に合格できるような得点は難しい。
高校受験でリベンジを果たすのは、中学受験で都立中合格を目指すのと、同等か、それ以上に難しい。
高校受験でも、都立実質一本勝負を目指すなら、都立中合格が難しいと分かったらすぐに、高校受験で進学校を目指す戦略に軸足を移すのがよいだろう。高校受験で目指せるレベルは、小5までにほぼ決まってしまうからだ。
しかし、小学生のうちから高校受験での目標達成を目指しても、成功できるのは、少数派でしかない。