[2021年2月8日]
巷には、我が子の成長ばかりが気になって、よその子も成長していることが頭からスッポリと抜け落ちている保護者もいるようだ。
悪徳学習塾が煽るから、さらに事態は深刻だ。
漢字検定なら、一定の得点を超えさえすれば、みんな合格する。
受検では、得点上位から一定人数までに入らないと合格しない。
漢字検定は、絶対水準の闘いである。
中学受検は、相対水準の闘いである。
流水算の上流方向への進みかたで考えるとわかりやすい。
あなたの子が、時速15kmで進んでいたとする。
川の流れる速度が、時速20kmであったとする。
あなたの子は、懸命に上流に向かって進もうとしているのに、1時間につき5km下流へ流される。
時速20km未満でしか進めない多くの受検生は、川の流れの中で上流へは進めない。
時速20km以上で進める受検生だけが、上流の目標地点までの距離を詰めていける。
先に目的地に着いた受検生から、定員に達するまで合格がもらえる。
多くの受検生は、目的地にはたどりつけずに、受検を終える。
我が子の成長を愛でるだけなら、流水の速さは、意識しなくてもよいかもしれない。
受検に成功したいのならば、流水の速さを、意識しながら対策を進めるべきだろう。
川の流れは、受検を意識した時から始まるのではない。
後から参戦したら、より上流から合流できる訳でもない。
川の流れは、合格を競い合うライバルたちの、平均速度だ。
しかも、川の流れは、上流へ行くほど、目的地が近くなるほど、速くなる。
我が子が成長しても、他の子がもっと成長していたら、下流に流されてしまう。
それは、悲しいかな、目的地である「合格」から、遠ざかったことを意味する。