[2021年3月11日]
国公立大学の合格速報が報じられつつある。
巷の予想を覆さず、都立中では小石川が断トツの実績となる見込みだ。
東京大学:約20名
京都大学・一橋大学・東京工業大学合計:約30人
これに旧帝大や難関国公立大学を合わせると、約60人に迫りそうな勢いだ。
浪人生などを含めた最終合格者数が固まるのはまだ先となろうが、期待を裏切らない結果と評価してよいだろう。
まだ未公表の都立中高一貫校もあるので、確定的な判断はできないが、現時点で見えてくるのは、小石川と都立武蔵の2トップ体制が確認されそうなことだ。
都立中御三家という呼び方もあるが、3番手は他の都立中と大差がない傾向が続いているので、都立中は2強体制と見るのが実態に近いであろう。
今回はランキングをしてコメントする気はない。
大学合格実績を見て、多くの人は、東京大学などの難関国立大学の合格者数で、魅力的な学校を絞り込もうとしがちだが、今回は、このような傾向に警鐘を鳴らしたいと考えている。
多くの都立中の東京大学合格者数は、現役と浪人を合わせて5人前後という学校が多い。
しかし、都立中の卒業定員は160人から200人である。
東京大学の合格者数が5人だということは、ほとんどの卒業生は東京大学へは進学できないということだ。
都立中への合格は、東京大学への合格を、まったくもって約束しない。
国公立大学への合格率も、ほとんどの都立中で、入学定員の50%を超えない。
つまり、都立中に合格しても、国公立大学への合格さえ、約束されないということだ。
大学進学実績が良好だからと、都立中を目指すことは、勝手だ。
しかし、都立中合格者の全てが、輝かしい大学進学実績の通りに、難関国公立大学や最難関私立大学へ進めるとは限らない。
どの大学へ進めるかは、どの中学高校に進んだかではなく、受験生がどれだけ中高6年間に努力したかに依存する。
そのことが意味することを適切に噛みしめて、志望校選択を行うことが、そして、中高6年間をどう過ごすかが、最も重要なのである。
東京大学の合格者数が小石川より少ない都立中の魅力が低い訳でもなく、そもそも都立中でなくても魅力的な学校はたくさんあり、どんなに魅力的な学校に進めたとしても、当初の夢を実現できない人は多い。
週刊雑誌やネット上の大学合格実績に、思考を破壊されては、いけない。
見つめ直すべきは、受験生それぞれの、特性や適性や希望や、そして目標を実現しようとする、意志や能力や実行力であろう。
廃校寸前の公立小中学校から、名もない高校へ進み、難関大学に合格して、希望に満ちた人生を送ることだって不可能ではない。
最も重要なことは、少なくとも大学受験なら、
本人しだい、ということだ。
学校しだい、でないことだ。
学校の進学実績は、それぞれの受験生の結果の集約でしかないのだから。
志望校の選択で、踊らされては、いけない。
志望校の選択は、広い視野から、すべきだ。