[2021年4月17日]
詰め込みが害悪かのような意見を今でも聞く。
しかし、詰め込みが知識・技能の習得を指すのであれば、何も悪くはないし、むしろ推奨されるべきである。
都立日比谷高等学校の令和3年度の出題方針を抜粋しておく。
(引用始め)
出題の基本方針
3 出題に当たっては、基礎的・基本的な知識及び技能の定着や、これからの時代に求められる思考力、判断力、表現力などをみるとともに、体験的な学習や問題解決的な学習などの成果もみることができるようにする。
(引用終わり)
「基礎的・基本的な知識及び技能の定着」をみるという文言を、けっしてスルーしてはならない。
偏差値教育が教育を歪めているという主張も聞く。
偏差値とはテストの得点を統計処理しただけのものだ。テストの得点の向上を目指すのは良くて、偏差値の向上を目指すのは悪だとするのは、科学的に矛盾している。
小学校のカラープリントテストや中学校の定期テストの成績は、学校学習内容を理解できている度合いが高いほど高くなる。つまり、学校学習内容が理解できているほど偏差値は高くなる。よって、偏差値向上を数値目標とすること自体は何も悪いことではない。むしろ、偏差値向上を目指さないということは、学習成果の向上を目指さないことになり、その方が大いに問題である。
詰め込み教育や偏差値教育というキャッチ―なコピーを使って批判を繰り返す輩の、本当の意図がどこにあるのか、まさに子育て盛りの保護者は、客観的かつ正確に見抜き、騙されないようにすべきである。
知識や技能の習得を怠れば、基礎学力は崩壊し、思考力や表現力などの高度な学力も育成できない。
本質的な問題は、詰め込み教育や偏差値教育にあるのではない。何かの意図があって問題をすりかえているだけなのである。
改善すべきは、間違った教授法を使った指導や、間違った方針による指導にあるのだ。
詰め込み教育も、偏差値教育も、間違った運用をしなければ、むしろ発達過程にある子供たちの能力を開発し引き上げることができる。
むしろ、子供たちの能力を開発し引き上げようとしない教育の方ににこそ、弊害があるのだ。