[2021年5月26日]
令和3年度の大学進学実績が好調だった小石川。その陰には新型コロナ感染症拡大の思いもよらぬ影響があった。
令和2年の3月から広がった新型コロナ感染症で、多くの学校では、長期の学校臨時休校や、分散登校や、リモート授業や、部活動や体育祭や文化祭など大型行事の中止や延期や自粛が、相次いだ。
ここで注目すべきは、部活動の長期停止や自粛である。小石川の多くの部活動には、特に運動系には、6年生(高校3年生)の初夏まで活動する部が多い。ところが、新型コロナ感染症の影響で、5年生(高校2年生)の春を前にして活動が停止状態となり、そのまま実質的な引退となり、早期に受験勉強専念体制へと突入することになった。
これが、大学進学実績が好調な、一つの大きな要因となった。
そうした見方を示しているのは、小石川の教員であり、小石川の卒業生たちだ。授業中の余談で話す教員や、部活の後輩たちを前に体験談を語る先輩たちがいて、後輩たちは「へえ、そうだったんだ」と聞いているらしい。
これは、小石川に限ったことではない。令和3年度の大学入試では、各地域の公立トップ校が大学合格実績を大きく伸ばした。
これは、かねてより申し上げている「部活にのめり込むと受験で苦労する」という見方とも整合的なので、実に興味深い。
令和4年度入試では、もともと部活の引退時期が早いなどで有利だった私立中高一貫校が、巻き返しを狙って、公立高校躍進への対策を講じてくるだろうから、どんな展開になるか今から楽しみである。
ここから教訓を得ておくべきだろう。
現在も、多くの地域で、緊急事態宣言などで、部活動の停止や大型行事の中止や延長が起きている。
これまで勉強最終優先だった受験生たちは、その優位性が発揮できず、かなり分が悪い。
感染症拡大で、不要不急の外出自粛が呼びかけられている影響で、平常時なら渋谷や原宿などをうろついていた不真面目な受験生の多くも、家にこもって通信教育に取り組んだり、塾へ通って勉強しているだろうから、勉強最優先の受験生たちは、ここでも優位性が発揮できない。
先輩たちの合格実績が良かったからといって、次の学年もおなじような恩恵を受けるとは限らない。
感染症拡大による受験生たちの動きが鮮明になり、広く知れ渡るようになったのだから、次はその上を行かなければ、成功はない。
あなたなら、どんな作戦で、次に臨むだろうか。
少なくとも、緊急事態宣言で受験勉強を自粛してしまったような受験生に、勝ち目はないだろう。
予測不可能な状況にあっても、それを追い風にできた受験生が、圧勝する。
これぞ、勉強最優先の受験生が目指すべき姿だろう。