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三田学院

[2021年5月30日]

【都立高】立川高校の理数科

東京都教育委員会(東京都教育庁)は、立川高校に設置される「理数に関する学科(以下「理数科」と呼ぶ)」の選抜方法を公表した。

一般入試(「学力検査」に基づく選抜)では、志願者は「理数科」か「理数科と普通科の併願」か「普通科」のいずれかを選択して出願することになる。「理数科」と「普通科」を併願した場合は、先に「理数科」の選考対象となり、もし「理数科」不合格でも「普通科」の選考対象となる。つまり、スライド合格がありうることになる。

理数科の学力検査は、普通科と同じ問題で行われる(数学と英語と国語は自校作成問題)。

理数科の選抜では、理数科のみ出願者と、理数科と普通科の併願出願者により、『男女合同の総合成績順』に合格者が決まる。「理数科」不合格でも、「普通科」も併願していれば、「普通科」の選考対象者となる。

この『男女合同の総合成績順』では、男子合格者が多くなることが予想されるが、蓋を開けて見なければ、どうなるかわからない。

「普通科」の選抜では、「普通科」出願者と「理数科」の併願者で「理数科」が不合格者なった出願者により、『男女別の総合成績の順』に合格者が決まる。

ここから分かることは、「理数科」は実質的な選抜クラスであるということだ。難関国公立大学(おもに理系学部)や国公立大学医学部医学科などが目標大学となるであろう。

この「理数科」不合格でも「普通科」スライド合格があるという選抜方法は、都立高校進学校を目指す受験生にとって、メリットが大きいと思われる。

おそらく難易度的には都立高校進学校で最高難易度となるであろう立川高校「理数科」に挑戦でき、もし「理数科」が残念でも立川高校「普通科」で救済される道が残るからだ。最難関と難関の都立高校進学校を、実質的に2校受験できることに等しい。しかも一回の試験で実質的に2校に挑戦できる。

そもそも、立川高校の「普通科」への合格が難しい受験生にとってのメリットはない。「普通科」の定員の一部を「理数科」に振り替えるので、総定員が増える訳ではないからだ。

学区撤廃後、日比谷や西や戸山などに流れてしまっていた多摩地区の最優秀層を、この「理数科」設置で取り返したいという思惑が感じられなくもない。

もし大成功すれば、優秀な受験生の日比谷(旧東京府立一中)への一極集中に風穴を開け、名門立川(旧東京府立二中)の大復活劇となるかもしれない。