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三田学院

[2021年6月4日]

【都立中】課題文に正しく向き合う

適性検査の国語分野で、課題文に正しく向き合うことの重要性を十分に理解できていない受検生が少なくないようだ。

「課題文を読んであなたが考えたことを書きなさい」

課題文をなんとなく読んだ後に、あなたが感じたことや、あなたが思ったことなら、何を書いてもいいのではない。

「課題文を読んであなたが考えたこと」

課題文にしっかりと向き合った上で、あなたが考えたことを、論理的に書かないといけないのだ。

漁師が漁場を豊かにするために山に木を植えたという内容の課題文があったとしよう。

ここで注目してほしいことは、林業を営む人ではなく漁業を営む人が山に木を植えたということである。山に木を植えたのは、山を豊かにするためではなく海を豊かにするためであり、林業振興ではなく漁業振興のためであるということだ。ここに正しく向き合って、あなたの意見を展開しなければならない。そうでなければ課題文をしっかり読んだことにはならない。

学力向上のために、栄養バランスに気をつけた食事をとり、適度な運動をするということなら、理解しやすいかもしれない。

学力向上のために勉強するなら当たり前だ。

健康な身体を手に入れるために食事や運動するなら当たり前だ。

学力向上のために食事や運動に気をつけるのだ。

それは、どういうことか。

そのことについて、客観的に、論理的に、適切な理由と根拠を示しながら、意見を展開できるかどうかが試されているのだ。

海を豊かにしたいなら(山に木を植えるより)海のごみを掃除した方がよいとか、海を豊かにしたいなら(山に木を植えるより)生活排水や工業廃水が流れ込まないようにすればよいとか、海を豊かにしたいなら(山に木を植えるより)農薬が海に流れ込まないようにすればよいとかでは、「山に木を植える漁師」について書かれた課題文と正しく向き合えていない。

課題文に正しくしっかりと向き合うことが大切なのだ。