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三田学院

[2021年6月7日]

【都立中】生きるか死ぬかの死闘

BBCが作成した「海イグアナ」と「蛇」の死闘が、ネット上に公開されている。

絶海の孤島、岩と砂の世界だ。食料も水も乏しい。

海イグアナは、卵を砂場に産む。岩場に産めば、海鳥の餌になってしまうばかりか、適切な温度を保てず、孵化しない。

砂場は蛇が支配する。多数の蛇が、卵から孵化したばかりの子ども海イグアナに襲いかかる。海イグアナの子どもたちは、何も教えてもらっていないのに、産まれたばかりの幼い己の判断で、いきなり訪れた命の危機を、乗り切らなければならない。

海イグアナの子は、全力で逃げる。
蛇たちが、全力で追いかける。

生きるか死ぬかの死闘が繰り広げられる。

蛇に食べられてしまえば、海イグアナの子は絶命する。
海イグアナの子を捕食できなければ、蛇は絶命する。

そこには、善も悪もない。

生きようとしなければ、確実に死ぬ。
死にたくなければ、生きるしかない。

しかし、

生きようとしても、生きられるとは限らない。

蛇の猛攻をかわせたとしても、大型の海鳥が空から狙っている。

海鳥の攻撃をかわせたとして、エサを確保できなければ死ぬ。

エサを確保しようと海に入れば、そこは海獣が支配する世界だ。

どこにも安全な場所などない。

運よく生き延びても、また蛇が支配する砂場に、卵を産みに行かなければならない。

生きるか死ぬかの死闘が繰り返される。

生きるとは、死と隣り合わせの世界を旅することだ。

そして、旅を止めることは、死を意味する。

持てる力を最大限に発揮しなければ、死が待っている。

海イグアナの幼いこどもが、そう教えてくれる。

生は、常に、死に包囲されている。

親を失っても、仲間を失っても、

海イグアナの瞳に、悲しみはない。