パソコン版を見る

三田学院

[2021年6月10日]

【都立中】国語力が先か、作文力が先か

近年、日本人の国語力の低下が著しい。国際的な学力評価テストで、日本人の読解力の低さが問題になっている。

国語力の低下は、指導していて肌身で感じられる。

しかし、本人と保護者に、危機感は薄い。

漢字が正確に書けない
漢字が正確に読めない
言葉の意味がわからない
辞書が引けない(電子辞書なら引ける)
語彙力が貧弱
ことわざ・慣用句・故事成語を知らない
文法を理解できない
係り受けが正しくない
話し言葉しか書けない
書き言葉とは何かを知らない

など

例示するときりがない。

必然的に、国語テスト(模擬試験など)で、高得点が取れない。
しかし、算数や数学と違って、学力不足を実感しづらいようだ。

国語力が弱いと、適性検査1(国語分野)でも得点できない。

適性作文を指導していると、国語力の程度は鮮明に分かる。それは都立中の目から見ても同じだろう。

漢字の誤りや、文法の誤りは、減点される。
条件や注意事項から逸脱すれば0点になる。
設問に正対していない作文は得点できない。

国語力が乏しい受検生ほど、中身のない作文しか、つまり高得点は得られない作文しか書けない。

そもそも、国語力が乏しい受検生は、課題文をしっかり読解できない。抜き出しも正しくできない。要約も正しくできない。

偶然か必然かを、まだ判別できていないのだが、適性作文の添削指導をしていて、国語力に課題のある小6の数人に、想定外のことが起きた。

並行して指導している「国語の伝統的な読解問題」の正答率が、そろって上がってきたのだ。

適性作文演習で、何度もダメ出しされ、何度も書き直しをしているうちに、課題文をしっかり読み直さなければならず、その結果として、国語力が上昇したのではないかと推察している。

国語が先か?
作文が先か?

本来、国語が先であるのは言うまでもない。単文が正しく書けなければ、作文は膨大な文章ごみの集積所のようになってしまうからだ。

もしかしたら、今回の想定外の事象は、今後の指導に活かせるかもしれない。

そもそも、

国語力が高いと、作文力も高い。

そして、

作文力が高いと、国語力も高い。

と言うことは、

因果関係ではなく、相関関係なのか。