[2021年6月17日]
国語の基礎基本の力さえあれば、原稿用紙を埋めることなら容易にできる。しかし、適性検査で合格点が取れる作文になるとは限らない。
おなじように高い学力があっても、合格作文が書ける受検生と、そうでない受検生がいる。
何が明暗を分けているのか。
重要なキーワードとして「メタ認知」を指摘しておく。
合格作文を書ける受検生や、書けるようになる受検生は「メタ認知」能力が高い傾向にある。
合格作文を書けない受検生や、なかなか書けるようにならない受検生は「メタ認知」能力が高くない傾向にある。
メタ認知とは何か。
「自分が物事を認知している状態を、客観的に認知している状態」などと、良く説明される。
つまり「自分を客観視できる能力」のことだ。
さらに「自分の考えを客観視できる能力」と言ってもいいだろう。
これができない受検生は、合格作文が書けない。
適性作文を書く際に、書こうとしている自分の意見や考えを、書いている自分の意見や考えを、書き終えた自分の意見や考えを、客観視できないようでは、合格はない。
それができないと、客観的で論理的な文章を、書けないからだ。
課題文の筆者の主張をただなぞっただけでは得点できない。
誰もが言っているようなことを書いたのでは得点できない。
課題文の筆者の意見や、学校の先生が学校の授業で言っていたような意見や、教科書に書かれていることや、クラスメートが言っているようなことや、それらを全部包括した上で、再検討し直し、受検生のオリジナルな意見を形成できなければならない。
経験や体験をふまえて書きなさいと指定が入ることがあるのはそのためだ。
みんながどう言っているかを書くのではない。
学校でどうに教わったかを書くのではない。
あなたはどう考えるのかを書くのである。
メタ認知能力の向上方法に関しては、巷に怪しい商品やサービスが溢れているので、警戒した方がよい。
なぜ?
どうして?
本当か?
ウソか?
根拠は?
事実は?
事例は?
どんな経験から導き出せるのか?
そんな体験から導き出せるのか?
因果関係は?
相関関係は?
妥当性はあるか?
正当性はあるか?
客観的か?
合理的か?
倫理的に問題はないか?
社会通念に反しないか?
広く理解してもらえるか?
広く納得してもらえるか?
どうしたら実行可能か?
どうしたら実現可能か?
あなたなら、どのように解決するか?
そうしたことを自問でき、そして自答できるようになれれば、どんどん良い適性作文が書けるようになって行く。
考えられないから、メタ認知能力がないから、模範解答例をたくさん暗記して、設問に合わせてに変形して書いても、採点官にやすやすと見抜かれてしまう。
原稿用紙を埋め尽くしても、100点満点中で、0点やら、5点や、10点が頻出するのは、そのためだ。
適性作文とは、そういうものだ。
特別な訓練が必要なのだ。
詰め込むだけでは、ダメだし、
楽しく学ぶだけでは、ダメだ。
ただたくさん書くのもダメだ。
通信教育の添削や模擬試験の甘い採点では、ダメだ。
大手塾などの、いいかげんな採点や添削は、ダメだ。
無駄な努力をしても、むなしい結果に、なるだけだ。