[2021年6月21日]
幼稚園児や低学年児は図鑑で学べ。
10歳の壁がある。
色々な意味で使われているようだ。
学びの観点からは、この頃から「抽象的な事象」を理解する力が育ち始めるが、それまでは「具体的な事象」の理解が中心になるので、とても重要な転換点と言える。
幼稚園や低学年のうちから、中学受験で学ぶようなことに取り組んでも、限界がある。むしろ、発達段階的に逆効果になりかねない。
この時期は、たっぷりと、現実世界で学ぶのがよい。
そこで、もってこいなのが、図鑑である。
残念ながら、私が幼稚園児や低学年児だった頃には豊富に種類があった、百科事典型の図鑑が、今は数種類くらいしかない。
最近流行りのポケット図鑑は、価格は手ごろだが、解説があまりにもさっぱりしすぎていて、図鑑というより写真集に近く、付加価値が低い。
説明が豊富な図鑑がよい。
シリーズ全巻で、現実世界の、すべてを網羅している図鑑がよい。
都市部で暮らす子どもたちは、豊かで多様性に富んだ自然にふれる機会が少ない。動物園や植物園や水族館でしか、生き物に出会えない。
生活水準が向上し、自転車は壊れたら買い直してもらえるようになり、便利なグッズはいくらでも手に入るようになったので、自転車を自分で修理したり、道具を自作したりする機会が減り、自ずとそれらから学ぶ機会もほとんどなくなった。
これでは、動物との共生、植物との共生、自然環境の保全などと聞いても、極めて狭い見地からしかイメージが湧かないのもしかたがない。
そんなことだから、自転車はどうして前へ進むが後ろには進まないのか説明できないし、石鹸の泡はどのように発生するのか考えられないし、川にある石が上流と下流でどう違うかが、よくわからない。
それを補完してくれるのが、図鑑である。
危険生物の本がよく売れているようだが、危険生物よりも面白いことが、世の中にはたくさんある。
ある程度の知識がなければ、好奇心は生まれない。
好奇心がなければ、知識は増えていかない。
知識が乏しければ、思考力は育たない。
思考力がなければ、世の中の課題や問題を解決できない。
すべての礎が、図鑑にある。
人間は考える葦である。
考える力がなければ、人として生きて行くことが、難しくなる。
幼い子には、スマホやゲーム機ではなく、よくできた図鑑を与えるのがよい。